ICT活用教育に関する研究発表と交流のイベント「2019 PC Conference」が2019年8月6日〜8日、神戸市の甲南大学岡本キャンパスで開催された。期間中、セミナーやシンポジウム、研究発表会などを開催した。

 ICT活用教育に関する研究発表と交流のイベント「2019 PC Conference」が2019年8月6日〜8日、神戸市の甲南大学岡本キャンパスで開催された。主催はCIEC(コンピュータ利用教育学会)と全国大学生活協同組合連合会。期間中、セミナーやシンポジウム、研究発表会などを開催した。

 ICT活用教育の分野でも最近は、AI(人工知能)やデータサイエンスに関する取り組みが広がりつつある。研究発表会でも、これらに関する発表が見られた。

 目白大学社会学部の新井正一教授らは、人型ロボットと画像認識AIを組み合わせて、社会学部の3、4年次の学生9人を対象に実施した授業について発表した。授業に参加したのは、プログラミング言語「PHP」の授業を履修した学生。画像認識には、IBMのAI「Watson Visual Recognition」を利用。ロボットのカメラで撮影した画像をAIで認識し、その結果に応じてロボットが発話するプログラムを学生が作成した。

 学生たちは授業を通じて、「ロボットに手話の画像を見せると、その手話について解説する」「動物の写真を見分けて、その説明や豆知識を話す」「ロボットが2020年の東京オリンピックに関するクイズを出し、人が○、×のカードを提示し答える」などの作品を作った。

AIによる画像認識。授業で利用する際に、Webブラウザーから利用できるインタフェース画面を用意し、AIを操作するコマンドの知識がなくても容易に活用できるように工夫したという
人型ロボットのカメラで撮影した画像をAIで認識し、その結果に応じてロボットが発話する
学生の作品例。9人の受講生のうち、8人が作品を完成させた

 熊本大学教授システム学研究センターの北村士朗准教授らは、電子教材を活用した短期間のパソコン講座について発表した。全国の大学生協では、新入生を対象にしたパソコン講座を開催している。この講座は、6〜10回程度の講座を3〜4カ月程度かけて実施していることが多く、「学生生活が忙しくなり途中でキャンセルする」「授業で必要な内容を学習する時期が遅い」といった問題があるという。

 北村准教授は、電子教材を活用して2〜3日間の短期で講座を実施することで、こうした問題を解決できるとした。この講座では、大学生協の電子書籍プラットフォーム「DECS」を利用して教材を作成。電子書籍にネット上の教材コンテンツや動画へのリンクを設けることで、学生がさまざまな課題について自ら調べられるようにする。さらに、講座の中で「パソコンの使い方の調べ方」を学ぶことで、高学年になっても役立ち続けることを目指す。今後は、この講座のプロトタイプを用意し、希望する大学生協のパソコン講座で試用できるようにするという。

2018年、2019年に試験的に実施した短期講座の成果。キャンセル率の減少、学生スタッフの負荷軽減などの効果があった
電子教材から、日経BPのオンラインコンテンツサービス「日経パソコンEdu」などへのリンクを用意。学生が自ら課題を解決できるようにする

 獨協大学経済学部の立田ルミ名誉教授、李凱准教授らは、新入生を対象に情報関連の知識を調査した「情報基礎テスト」の結果などを発表した。テストは、情報処理学会一般情報教育委員会が作成した「一般情報処理教育の知識体系」(GEBOK)に沿って実施。2019年4月の第1回の講義と、6月3〜7日の第7、8回の講義の際に実施し、入学時の知識と授業を受けた後の知識を調べた。

 両方のテストを受けた学生は179人。テストの結果、「情報倫理とセキュリティ」などに関しては大学入学前に予備知識があるものの、「情報ネットワーク」「情報と社会」などの分野については予備知識が不足していることが分かった。また、授業前のテストと授業後のテストの結果を比較すると、「日経パソコンEdu」を利用して学習したクラスの方が、利用していないクラスよりも成績の伸びが大きかった。

新入生を対象に実施した「情報基礎テスト」の概要。情報処理学会一般情報教育委員会が作成した「一般情報処理教育の知識体系」(GEBOK)に沿って実施した
「情報のデジタル化」の分野での、授業前後のテスト結果の比較。「日経パソコンEdu」を利用して学習したクラスの方が成績の伸びが大きい