文部科学省は2020年8月7日、「JAPAN e-Portfolio(ジャパン・イー・ポートフォリオ)」の運営団体である一般社団法人教育情報管理機構の運営許可を取り消した。JAPAN e-Portfolioは2020年9月11日に運用が停止し、高校生がシステムに登録していた個人情報やポートフォリオデータは削除される。

 教育情報管理機構は、2020年3月の審査で条件付きの運営許可を受けていた。今回、運営許可の条件である(1)債務超過でないこと(2)事業運営に必要な資力を有していること(3)「情報信託機能の認定に係る指針」に基づいた「情報銀行」の認定を受け、又は認定を受ける予定があることのいずれも満たしてないことから、許可の取り消しに至った。

 教育情報管理機構は取り消しの理由について、2019年4月に文部科学省の委託事業から事業継承した際、参画大学を一から集めなければならなかったため、十分な会員大学を集められなかったことを挙げている。さらに、JAPAN e-Portfolioのサイト上で「文部科学省が特段、大学数の増加に係る促進策を講じなかったことから、大学においても『JAPAN e-Portfolio』を入試で活用評価することの理解が進まず、このことにより弊機構が赤字運営を余儀なくされる結果となりました」と、恨み節とも批判とも取れる説明をしている。

教育情報管理機構のWebサイトには、会長名で「JAPAN e-Portfolio運用不許可に関わる見解」が掲示された。内容は文部科学省との確執をうかがわせる

 文部科学省は全国の教育員会と大学にJAPAN e-Portfolioの運用停止と登録情報の保存に関する通知を8月7日付けで送った。JAPAN e-Portfolioを大学入学者選抜(入試)に利用できなくなるのはもちろん、約18万人いるとされる高校生の利用者がシステムに登録したデータは、9月10日までに取り出して保存しなければ削除される。

 教育委員会に通知したとはいえ、わずか1カ月ほどで全てのポートフォリオデータを引き上げろというのは乱暴ではないか。しかも、学校推薦・AO入試は秋から始まるにもかかわらず、8月6日(発表の前日)まで文部科学省の担当者は「運営取り消しの時期はまだ明らかにできない」と話していた。許可取り消し自体は見えていたとはいえ、システムの停止時期やデータの扱いに関する情報開示が遅い文部科学省の姿勢は、受験生に十分配慮しているとは言えないだろう。

 JAPAN e-Portfolioの運用停止により、入試で主体性等を評価するシステムがなくなった。主体性等の評価は大学入試改革の柱の一つだったはずだが、後を継ぐ仕組みは決まっていない。文部科学省は「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議において、評価の内容や手法等に関して検討する」としている。