教員の業務を劇的に減らせる

 シンポジウムでは大阪府、京都府、滋賀県の中学・高等学校からLAの実践事例も報告された。その中でも京都市立西京高等学校附属中学校での実践は、LAが教員の業務に直接役立つことが分かる好事例だ。

 同校では、従来は紙で配布していた夏休みの課題を教材配信システムの「BookRoll」を使って配信した。教員は夏休み中でも生徒がどこまで課題を進めたかリアルタイムで把握でき、達成率が低い生徒に連絡をして学習を促せるようになった。問題によっては、手書き入力のストローク分析により、生徒の解法の流れを確認できる。さらに、生徒に自分の解答に対する説明文を入力させることで、単に問題を解いて正誤を確認するだけでなく、生徒自身の理解を深める手助けをしたという。

京都市立西京高等学校附属中学校の宮部剛氏は、デジタル教材配信・分析ツールを導入したことで、「夏休み前に紙で宿題を配布し、次は夏休み明けに確認テストをしていたころに比べると、生徒の学びの様子を簡単な操作で知ることができた」と話した
京都市立西京高等学校附属中学校の宮部剛氏は、デジタル教材配信・分析ツールを導入したことで、「夏休み前に紙で宿題を配布し、次は夏休み明けに確認テストをしていたころに比べると、生徒の学びの様子を簡単な操作で知ることができた」と話した
(出所:宮部剛氏の発表資料)
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 テスト問題の作成では、教員の負担を大幅に低減する効果があった。それまではテスト問題を作成する際、教員の経験を基にして平均点や解答時間を推定していた。それに対してBookrollと分析ツールを使うと、問題ごとの正答率や解答時間を参考にしてテスト問題を作れる。実践した同校 主幹教諭の宮部剛氏は、「LAによる分析はベテラン教員の経験を裏打ちするとともに、経験の浅い先生でも同じようにテスト問題を作成でき、かかる時間も大幅に短縮できる」と、そのメリットを説明した。

所定の時間内で解答でき、適切な平均点が出るテスト問題を作るには教員の経験がものをいう。LAは、そこを手助けできるという
所定の時間内で解答でき、適切な平均点が出るテスト問題を作るには教員の経験がものをいう。LAは、そこを手助けできるという
(出所:宮部剛氏の発表資料)
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 EDEの緒方氏は「エビデンス駆動型教育研究協議会によって、これまでの教育のやり方を変えたい」と意気込む。同時に現状の課題として「教育データがないため思うように研究ができない」といった点を挙げる。課題解決には「産学官で協力して実践共同体を作り、ノウハウを共有しながら研究を進めていくことが大事」だと指摘した。

「エビデンス駆動型教育によって、これまでの教育・研究・政策のやり方を変えたい」と話す緒方氏
「エビデンス駆動型教育によって、これまでの教育・研究・政策のやり方を変えたい」と話す緒方氏
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