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データ・エビデンス駆動型教育の礎になるのが教育データだ(図3)。その中身は教科書の閲覧履歴やテスト結果、LMS(学習管理システム)のログといった一般的な情報から、学籍情報や成績評定のような公の記録、授業中の挙動・視線や脈拍などの生理的なデータまで幅広い(図4)。
収集した教育データの活用に不可欠なのがラーニングアナリティクス(学習分析)だ。教育データは、そのままでは意味を持たない。どんな学習行動が良い成績に結び付いたのか、どのような授業方法が学生の満足度を高めたのかといったことは、個別のデータを分析したり、匿名化したビッグデータを解析したりしないと分からない。
ラーニングアナリティクスで得たエビデンスを、学習者個人に合わせた学習方法や教材の提示に結び付けることを個別最適化学習と呼ぶ。そこにAI(人工知能)を利用する試みもある。教育データは、最終的に学習者に戻ってくるわけだ。さらに、教員に対しては、指導方法の改善や教材の改良を促すことも可能だ。
ただし、誤解がないようにしたいのは、データやエビデンスは教員にや学習者の活動を制限するためのものではないこと。京都大学の緒方氏は、「エビデンスは教員に特定の教え方を強制するものではない。データは参考とし、最終的に指導方法を決めるのは教員自身だ」と説明する。