埼玉県鴻巣市は2020年8月26日、同市の教育ICT基盤をクラウドサービスへ全面的に移行すると発表した。学校内にとどまらず、ネットワーク環境が利用できる場所であれば、どこからでも学べる環境を構築し、新型コロナウイルスなど感染症対策や災害などによる休校措置にも対応できるようにする。クラウドには、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」を採用し、2021年4月から本格稼働する予定だ。

 同市では、2019年9月にICTビジョン「学校教育情報化推進計画」を策定し、教育ICT環境の構築に取り組んできた。小中学校の児童・生徒が利用する学習系だけでなく、教職員が児童・生徒の成績管理などに使う校務系システムもクラウドベースで構築し、従来、市役所や学校に設置していたサーバー環境から全面的にクラウド環境に移行する。構築したネットワーク基盤は、国立情報学研究所(NII)が提供・運用している学術情報ネットワーク「SINET」へ加入することも検討している。

鴻巣市が進める教育ICT環境整備の利用イメージ
出所:鴻巣市の発表資料

 SINETは、全国の大学や研究機関などが利用する高速で安定したネットワークで、900以上の大学や研究機関などが利用している。文部科学省はオンライン教育や国際交流の拡大に向けて、小中学校・高等学校にもSINETを開放することを2019年に決めている。鴻巣市が新しく構築するネットワークをSINETに接続すれば全国初の事例になるという。

 利用するコンピューター端末に関しては、児童・生徒が日常的に自由に使える環境を用意する。市内27の小中学校で8509台を整備し、1人1台の端末整備を目指している。児童・生徒用にはデルのWindowsパソコン「Latitude 3190 Education 2-in-1」、教職員用には日本マイクロソフトの「Surface Pro 7」を採用する予定。サブスクリプションサービスの「Microsoft 365」を1人1アカウント用意し、児童・生徒が端末を自宅に持ち帰って学習できるようにする。

 また、デジタルのドリル教材や教材コンテンツを充実させて、個別最適化された学びの実現を目指す。内田洋行のデジタルコンテンツ配信サービス「EduMall」などを活用し、家庭での利用も視野に入れている。

 統合型校務支援システムや採点支援システムなども導入して、成績処理や文書管理、出勤簿、勤怠管理などの校務を完全デジタル化する。従来は、児童・生徒の出欠や成績管理などの校務作業は、個人情報保護の観点から学内のみに限定されていたが、今回、教職員にインターネットには直接接続されていない「閉域網」に接続できるSIMカードを搭載したモバイルルーターを貸与する。これにより高いセキュリティを維持したテレワーク環境を整備して、在宅でも児童・生徒の個人情報に関わる校務などができる環境を実現し、教職員の負担軽減とワークライフバランスの向上を目指す。