文部科学省は2020年8月25日、ICTを活用した学校教育の柱となる学習者用デジタル教科書について検討を進める「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の第3回会合を開いた。

 これまでの会議での議論を基に、将来的に学習者用デジタル教科書やデジタル教材がどうあるべきか、学校現場で有効活用するための在り方を検討した。まず、小学校の次期教科書改訂時期に当たる2024年度に向けた検討と、その先に向けた将来的な活用に向けた検討の双方について議論する。現行のデジタル教科書の標準化や「教育データの利活用に関する有識者会議」での議論を踏まえたデジタル教材との連携などを議題とする方針を確認した。

 その上で、障害のある児童・生徒の学びを支援するために、デジタル教科書が標準的に備えることが望ましい機能が何か、また現在障害のある児童・生徒が使用する特定教科書(点字・拡大・音声などによる教科書)をデジタル教科書に置き換えることが考えられるか、などについて議論した。同様に、日本語が通じない外国人などの児童・生徒の学びを支援するために、デジタル教科書が標準的に備えるべき機能などについても検討した。

義務教育段階で特別支援が必要な児童・生徒は増加傾向にある
出所:新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議の 2019年9月25日「日本の特別支援教育の状況について」資料

 文部科学省によれば、2017年5月時点で義務教育段階の児童・生徒数は989万人で減少傾向にある。これに対して、障害のある児童・生徒は約41万7000人で全体の4.2%を占め、増加傾向にあるという。このうち特別支援学校に通う児童・生徒が0.7%(約7万2000人)、特別支援学級は2.4%(約23万6000人)、通常学級は1.1%(約10万9000人)という。こうした児童・生徒は、特別支援学校・学級以外にも通常学級で学ぶケースもあることから、全ての学校・学級に在籍することを前提に、学習者用デジタル教科書が配慮すべき内容を考える必要があるという指摘があった。

日本語の理解が未熟な外国人児童・生徒はこの10年間で1.5倍に増えている
出所:文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(2018年度)

 公立学校(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、義務教育学校、特別支援学校)で、日本語指導が必要な児童・生徒(日本国籍、外国籍とも)は、2008年(3万3470人)から2018年(5万1126人)の10年間で1.5倍に増えている。 外国籍児童・生徒の母語もポルトガル語や中国語、フィリピノ語、スペイン語などさまざまで、日本国籍の児童・生徒の使用言語もフィリピノ語、中国語、英語などが多く、言語と文化も多様で個に応じた指導が必要になっている。こうした日本語の習熟度が異なる児童・生徒がデジタル教科書を利用して学習や授業に参加できるようにする必要性が指摘された。

 ほかにも、例えばデジタル教科書はユニバーサルデザインに配慮した仕様で作成することが必要ではないか、障害のある児童・生徒に有効なフォントや機能などについてデジタル教科書を発行する出版社間での情報共有や、ビューワーなどデジタル教科書のユーザーインタフェースを標準化する必要性、外国人の児童・生徒の保護者が言語やスキルの関係で家庭でのデジタル教科書の使用が困難な場合にオンラインによるサポートの必要性などが話し合われた。

 有識者による検討会議は今後も月1回程度の頻度で開催される予定だ。