高速な校内ネットワークを整備し、全ての小中学生が各自のコンピューターを使えるようにする「GIGAスクール構想」は、新型コロナウイルス感染症対策として端末整備が前倒しされ、2020年度中に全て整備することになった。だが、整備は文部科学省が期待していたほど進んでいない。

 同省が全国の自治体を対象に実施した調査によると、2020年8月までに端末が納品済みの自治体は、わずかに2%。特に重点的に感染拡大の防止に努める地域として13都道府県が指定された「特定警戒都道府県」において、文部科学省は8月末までにオンライン授業ができる体制づくりを求めていた。しかし、端末納品済みの割合は2.3%と、ほかの地域とほぼ同じだった。また、7つの自治体は2020年度内に整備を終える見通しが立っていないという。

ほぼすべての自治体が2020年度内には納品が完了するとしている一方で、納品予定が2021年3月としている自治体が4割近くあり、感染症の再拡大をはじめとする何らかの要因で作業が滞れば、2022年度にずれ込む恐れがある

 思うように整備が進まない原因について、同省初等中等教育局 情報教育・外国語教育課課長の今井裕一氏は、「今回の調査ではどこがボトルネックになっているのかは分からない」としつつ、「行政上の手続きとしては進んでおり、9月中には各自治体の議会において承認が進む」話す。その上で、「自治体に対しては、優先すべき学年などから整備するなどの工夫をしてほしいとお願いをしている」という。

2020年度内に整備を終える見通しが立っていない自治体

 GIGAスクール構想による予算措置だけでは1人1台端末にはならないことは忘れがちだ。国の補助金でカバーできるのは約3分の2で、残りの3分の1(3クラスに1クラス分)は、以前からある地方財政措置を使って自治体の責任において整備することになっている。このため、2019年までに3クラスに1クラス分の学習者用端末を整備してこなかった自治体では、改めて端末整備を進めないと1人1台にはならない。

 学習者用デジタル教科書は、全員が自分の端末を使えることが前提なので、1人1台にならないと効果的な活用は難しい。GIGAスクール構想は、もともと4年計画だったので、2023年度中には各自治体が1人1台になるよう整備を進めるはずだが、自治体によっては高学年に寄せて整備するといった対応をするところが出てくる可能性がある。