文部科学省は「学習eポータル」と「MEXCBT(メクビット)」の普及、利用促進に本腰を入れ始めた。CBT(コンピューターで受ける試験)システムのMEXCBTの機能を拡張し、2021年11月下旬から提供するのに先立ち、活用校の募集を11月1日から始める。対象は全国の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校など。同日には学校設置者や教育関係者向けにオンライン説明会も開催する。説明会は「YouTube」で視聴できる(視聴URL:https://www.youtube.com/watch?v=T-kKvfdF6vQ)。

 学習eポータルは、各種の教育向けクラウドサービスと学習者・教員をつなぐ「ハブ」の役割を果たす。ユーザーがIDとパスワードでログインすると、各社のデジタル教科書や教材、CBT、ダッシュボード機能などをシームレスに利用できるイメージだ。文部科学省はCBTのMEXCBTを利用する場合、基本的に学習eポータルを経由することを推奨している。

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 学習eポータルは具体的なシステムだと誤解されがちだが、実は「仕様」であって実体はない。ICT CONNECT 21が学習eポータルの「標準モデル」をWebサイトで公開している。この仕様に基づいてクラウドサービスを開発すれば、どんな事業者でも学習eポータルの機能を持つサービスを提供できる。

 実際、NTTコミュニケーションズ、NEC、内田洋行、スタディプラスの4社は、自社の教育機関向けプラットフォームに組み込み、2021年11月から提供を開始する見通しだ。11月1日には、前述した文部科学省の説明会に続けて「学習eポータルとMEXCBTの活用に関する説明会」も開かれる。いわゆるピッチ形式のイベントで、上記の各社が自治体や教育関係者向けにプレゼンする。

国際標準を組み込んだオープン仕様

 学習eポータルの特徴の一つが、国際的な技術標準に基づいて設計されていることだ。上図の各種教育向けクラウドサービスとの接続に、国際標準化団体であるIMS Global Learning Consortiumの技術標準を採用し、相互運用性を高めている。具体的には、デジタル教科書・教材やLMS(学習管理システム)との接続にLTI( Learning Tools Interoperability)、MEXCBTのようなCBTシステムとの接続にはQTI(Question and Test Interoperability)を使う。

LTIは、LMSなどのプラットフォームと教材や学習ツールをつなぐ技術標準。文字通り、プラットフォームから透過的に各種のサービスを利用可能にすることを目指す
LTIは、LMSなどのプラットフォームと教材や学習ツールをつなぐ技術標準。文字通り、プラットフォームから透過的に各種のサービスを利用可能にすることを目指す
(出所:日本IMS協会「IMS ビギナーズセッション」)
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 ラーニングアナリティクス(学習分析)を活用した教材リコメンドやダッシュボード機能などを提供するには、児童・生徒がいつ、どのような学習に取り組んだか、どんなテストを受けたかといった学習履歴に関する情報が必要だ。既存のサービスは独自形式で情報を保存していることが多いが、学習eポータルではxAPIという標準規格に基づいてやり取りする。

 日本IMS協会で理事を務める放送大学 教授の山田恒夫氏は、「日本では各ベンダーのシステムがサイロ化していて、データの相互運用性がない。国際的な最新仕様から後れてしまう」と現状を分析する。国際的な技術標準を基づいて開発すれば、海外も含めて優れた教育向けサービスを利用できる。各社のサービスは相互に連携し、学校設置者や学習者は目的に合わせて自由にサービスを組み合わせられる。その中核に学習eポータルを持ってこようというのが文部科学省の考えだ。