大学ICT推進協議会(AXIES)は、2021年12月15日〜17日に年次大会を開催する。今回はオンラインと幕張会場のハイブリッド開催となる予定。実行委員会を務める慶應義塾大学の砂原秀樹氏に聞いた。

[画像のクリックで拡大表示]

── 2020年の年次大会はオンライン開催になりました。

 昨年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催に変更しましたが、これが5年前だったら不可能だったのではないでしょうか。2020年だからこそ、AXIESも年次大会をオンライン開催できたし、企業がリモートワークに踏み切ったり、大学がオンライン授業に切り替えたりするなど、社会全体が事業継続計画(BCP)の一環でICTを活用する機運がありました。

 例えば、オンライン会議で新しい参加者がコミュニケーションの輪に入って共同作業する難しさやプライバシーの問題などがありますし、オンライン授業には対面とは違った難しさがあります。ネットのコミュニケーションに欠けているものや課題は何かを探る研究を始めたところです。

幅広いセキュリティ人材を育成

──大学の中でデジタル化が進むと同時に、サイバー攻撃の脅威も高まっています。

 企業なら利用するシステムや社員の意識レベルを統一しやすいですが、大学は学部や教員、学生ごとにセキュリティ意識や使っているシステムが異なり、統一した運用が難しい面があります。セキュリティは誰か一人が詳しくなればいいのではなく、全員が少しずつレベルアップする必要があります。

 今の大学生は情報モラルやセキュリティの意識レベルが低いと感じることがあります。一方、教員や企業の経営層などの世代にもセキュリティの啓もうは必要でしょう。むしろ、デジタルネイティブである小学生の方が、体験を通じて情報セキュリティの重要性を理解しているのかもしれません。

 セキュリティのレベルアップには、人と人とのつながりが役立つと感じています。さまざまな場所で活動するセキュリティ人材がネットワークを作ることで知見を共有することが大事だと思います。私たちは、5つの大学が連携して実践セキュリティ人材育成コース(SecCap)を開講しています。幅広いセキュリティ分野の最新技術や知識を正しく理解し、実社会で生かす力を備えた技術者や経営者など、セキュリティ実践力のあるIT人材の育成を目指しています。

*情報セキュリティ大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学、北陸先端科学技術大学院大学、東北大学、慶應義塾大学

──今回の年次大会で注力したいことはありますか。

 今大会はデジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマに、大学のデジタル化について考えます。基調講演では、東北大学 情報シナジー機構特任教授の曽根秀昭氏に「セキュリティ人材の育成と大学間の連携」をテーマに話をしてもらいます。

 コロナ禍の影響が残る今回は、対面とオンラインのハイブリッド開催を目指しています。会場の幕張メッセ国際会議場は、私たちが関わってきたInterop Tokyoというインターネット技術関連のイベントを開催してきたため、会場でのネットワーク構築などのノウハウがあります。それを生かし、イベントのハイブリッド開催やネットを活用した働き方のモデルケースを提示したいと思います。

初出:2021年10月18日発行「日経パソコン 教育とICT No.18」