Raspberry Pi(ラズパイ)を活用する楽しい作品やアイデアを表彰する「みんなのラズパイコンテスト2021」の受賞作品が2021年11月23日に発表された。AIを使ってデジタルカメラを高精度に制御する、鉄道の流し撮りシステムが最高賞のグランプリに選ばれた。

 ラズパイマガジンと日経Linux、日経ソフトウエアが主催する「みんなのラズパイコンテスト2021」は2021年5月25日〜10月7日の期間、ラズパイを使った電子工作やアプリケーションの作品・アイデアを募集した。8回目となる今年は、昨年の1.5倍近い155件もの応募が集まった。

 審査委員長を務める青山学院大学大学院の阿部和広特任教授は、「コロナ禍で大変なことやつらいことが多い中、なんとか楽しいことを見つけようと注力した作品が多かった」と総括した。その中から最高賞のグランプリに選出されたのは、ラズパイとカメラ、AI技術を組み合わせた『「撮り鉄」のための自動「流し撮り」システム』という作品だ。

電車の動きに最適化し高速処理

 グランプリの作品は、中莖(なかくき)洋一郎さんが一人で作り上げたもの。「流し撮り」とは、動きのある物体(動体)に合わせてカメラを振りながら低速シャッターを切る撮影技法である。この流し撮り写真を簡単に撮影できるように、カメラの動きをラズパイで制御するシステムを構築した(図1)。システムは、ラズパイと、画像認識用/写真撮影用の各カメラ、サーボモーター、リレーなどで構成。キーボードやマウスの代わりにスイッチのオン/オフで操作するための専用基板も自作した。

図1 グランプリの『「撮り鉄」のための自動「流し撮り」システム』
図1 グランプリの『「撮り鉄」のための自動「流し撮り」システム』
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 動体検出にはオープンソースの画像処理ライブラリ「OpenCV」を利用している。ただし通常の動体検出の手法では、変化の大きい屋外の風景の中で高速に動く電車を動体認識させるのは困難なため、改良を加えた。「動き検出を横方向に限定」「出現方向をあらかじめスイッチで指定」といった工夫も加えて最適化を図った。

 アイデア、システム設計、ハードウエア製作、ソフトウエアの開発および最適化などすべてがハイレベルなことに加え、カメラ好きなら誰もが試してみたくなるほど実用的な作品であることが高く評価された。中莖さんは2021年の技術賞に続くグランプリ受賞となった。