情報処理学会の初等中等教育委員会は2021年10月9日、「情報科教育の新時代を創る〜デジタルの日を記念して〜」をテーマに「高校教科「情報」シンポジウム2021秋」をオンラインで開催した。

 2025年度から大学入学共通テストに新たな出題教科として「情報」が追加され、2022年度からは高校で「情報I」と「情報II」を含む新学習指導要領に基づく教育課程が始まる。情報科教育における高大接続を通じてどのような資質・能力を育成するのか、学校現場で情報科の授業を含むカリキュラム全体をいかに設計し、生徒の資質・能力を育成するかなど、大きく変化する情報科教育を取り巻く環境について教育関係者が講演した。

 国立教育政策研究所 教育課程研究センター研究開発部研究開発課教育課程 調査官の田崎丈晴氏は、高等学校で2022年度から実施される「情報I」のスケジュールや、学習の基盤となる資質・能力の一つとして位置付けられている情報活用能力の育成、学習評価、GIGAスクール構想や大学入試についての動向などを解説した。

 田崎氏は、これからの学校の授業では「教員が何を教えるのかよりも、生徒が何ができるようになるかに力点が置かれ、何をどのように学ぶかという観点からアクティブラーニングの手法を活用していくことが重要で、学び方だけでなく、教え方、学力感が変わっていく」と話した。情報技術を活用して問題を発見・解決する学習活動を通して、情報社会に主体的に参画するための資質・能力を育成する教育を目指すべきだと話した。

 文部科学省が実施した「高等学校情報科担当教員に関する現状について 」によると、情報科担当教員のうち、「情報」を教えられる免許を保有する教員は約76%の3839人で、残りは臨時免許や免許外で教科を教える許可を受けた教員だ。一方で、「情報」の免許を保有している教員9903人のうち、情報科を担当していない教員は6064人で、情報免許状の保有教員数は臨時免許や免許外教科担任数を上回っている。

国立教育政策研究所調査官の田崎氏は、高等学校では現在情報科を担当していない情報免許状保有教員の配置を工夫したり、計画的な教員の採用活動を進めて臨時免許状や免許外教科担任を縮小したりする必要があるなどと話した
国立教育政策研究所調査官の田崎氏は、高等学校では現在情報科を担当していない情報免許状保有教員の配置を工夫したり、計画的な教員の採用活動を進めて臨時免許状や免許外教科担任を縮小したりする必要があるなどと話した
出所:文部科学省「高等学校情報科担当教員に関する現状及び文部科学省の今後の取組について」
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 「情報I」が必履修になることを受けて、高等学校では現在情報科を担当していない現職の情報免許状保有教員の配置を工夫したり、計画的な教員の採用活動を進めて臨時免許状や免許外教科担任を縮小したりする必要がある。また、情報免許の保有教員をはじめ、 情報科を担当する教員の専門性を向上させるため研修を進めていくことが重要とした。

 また田崎氏は、授業においてはGIGAスクール構想で整備された高速の校内ネットワークなどを活用し、ICTの効果的な活用方法や活用場面を考え実践していくことが重要などと話した。

 情報処理学会副会長で東京大学教授の萩谷昌己氏は「情報教育課程の設計指針と情報入試」と題して講演した。 大学入学共通テストで多くの大学に教科「情報」を利用してもらうには、大学は高校で実施される「情報I」の内容と位置付けを理解する必要があるという。一方の高校側は、現場の教育に応じた適切な試験範囲・難易度について発信していくことが必要と述べた。また、大学入試センターはこれまでに公開している試作問題(検討用イメージ)やサンプル問題に加えて、さらに問題を公開していくことで「情報」入試に対する理解を深めていくことが重要だ、などと話した。