密になるのをどう防ぐか

 対面とオンラインの授業が混在すると、対面→オンライン→対面といった授業のパターンが発生し、学生が大学構内に滞留してしまう(図9)。このため千葉工業大学では、「対面の授業が集中して学生が集まることがないように、午前と午後で分かれるようにするなど、時間割を全面的に組み直した」(大学事務局長の小川靖夫氏)という。東京大学のように1コマの授業を105 分から90 分に短縮することで休み時間を長く取り、学生が集中するのを防ぐ試みもされている(図10)。

●構内でオンライン授業を受講する学生への対応
●構内でオンライン授業を受講する学生への対応
図9 対面とオンラインの授業が混在すると、大学構内でオンライン授業を受ける学生が出てくる。感染防止のため密にならないよう配慮しつつ、受講できる環境を提供する必要がある (いずれも本誌の取材に対する9月中旬時点での回答)
[画像のクリックで拡大表示]
●休み時間を長く取る
●休み時間を長く取る
図10 東京大学は、教員が1コマの授業を105分から90分に短縮する時間割も選べるようにした。休み時間を長く取ることで、登校や移動で学生が集中するのを防ぐのが狙い
[画像のクリックで拡大表示]

 ハイブリッド型授業を考慮した時間割の組み換えまでできる大学は限られるし、組み換えにも限界はある。ある程度の学生が構内にとどまり、オンライン授業を受けるケースは出てくるはずだ。このため、各大学は教室に無線LAN(Wi-Fi)のアクセスポイントを増設して開放するなどの対策をしている。当面はこうした対策を取りながらの大学運営が続きそうだ。

ベストブレンドを探求

 自分のペースで学修できる、通学が不要といったオンライン授業のメリットを実感した大学生は、その多くが今後もオンラインの継続を望んでいる。大学側でも、知識伝達型の授業はオンデマンド型のオンライン授業で十分であり、優れたカリキュラムと教材、評価方法があれば、対面授業と同等以上の学修効果があると考え始めている。

 いわゆる大教室での講義や一般教養など、多くの学生が一律に学ぶ教科や誰が教えても内容が変わらない教科については、オンライン授業が主体になっていくとする意見が勢いを増している。事実、LMS(学習管理システム)上に完全オンデマンド型のコースを構築し、1人の教員が数百人の学生を受け持つことを可能にした大学もある。

 コロナ禍が終息したとしても元の大学に戻るのではなく、対面とオンラインのハイブリッド型授業になることを前提に、それらの“ベストブレンド”を探る動きが始動している。例えば大阪大学は、「対面授業を主体にしつつ、メディア授業を併用するブレンデッド教育を今後の大阪大学標準スタイルとし、教育の質の向上を目指した活動を2020年度後半に推進」(副学長の進藤修一氏)すると宣言している。

 名古屋大学 副総長の藤巻氏も「オンデマンドのデジタル教材を勉強しておき、アクティブラーニングで鍛えるといったオンラインと対面のベストブレンドを探求している」と話す。法政大学 副学長の廣瀬克哉氏は、「100分間教室に居るという考え方に縛られず、オンラインと対面、反転学習を合わせて100分の授業時間を構築することも考えられる」と意欲的だ。今後は、対面とオンライン、それぞれの良さをさまざまな形で組み合わせた授業が提案されると期待できる。