AIを使ったロボット2点が「技術賞」

 技術的なレベルの高さを評価する「技術賞」には、鎌倉生大さんの「ディープラーニングを応用した低コスト筋電義手」と、伊藤真さんの「這いまわる指型AIロボット、フィンガロン」が選ばれた。伊藤さんは昨年のグランプリに続いて2年連続の受賞だ。どちらも機械学習をうまく活用した。

 鎌倉さんの作品は、筋肉が活動したときに発生する電位差である「筋電位」の変化を調べることで、手の動きに連動して動作するロボットアームだ(図3、動画はこちら)。ポイントは、筋電位センサーの出力を「ディープラーニング」を使って学習し、手の動きを推定できるようにしたこと。学習データとして(1)手首を内に曲げたとき、(2)手首を外にそらしたとき、(3)手を握ったとき、(4)動かさなかったときの4種類の筋電位データをそれぞれ5個ずつ計測した。ただし力の入れ方によって筋電位の強度が変わるため、そのまま学習しても、うまくいかないと考えた。波形の“感じ”を捉えるためFFT(高速フーリエ変換)による周波数解析(含まれている波の解析)をした結果を学習データにすると、うまくいったという。4層のシンプルなニューラルネットワークで学習した。

図3 「ディープラーニングを応用した低コスト筋電義手」
ラズパイを含めて1万8000円ほどで実現した。

 伊藤さんの「フィンガロン」は昨年のグランプリと同様、機械学習の一種である「強化学習」を生かした自動ロボットだ(図4)。3個のサーボモーターで動き、「前進」「後退」「左旋回」「右旋回」という四つの動きができる。ユニークな動きはYouTubeで確認できる。

図4 「這いまわる指型AIロボット、フィンガロン」
きょう体は3Dプリンターで出力したものと木の板から成る。

 特徴的なのは、4種類の動きのそれぞれで、三つの関節をどう動かせば最も高速に移動できるかを、強化学習で学習できる点だ。例えば、先端部分を取り換えた場合には、同じ動きではうまく前進などができない。再び動きを学習するため、15分間いろいろなポーズを試し、3分間シミュレーションすることで最適な動き方を再学習できる。