趣味を極めた秀逸なアイデア

 驚くようなアイデアを評価する「アイデア賞」は、松下明博さんの「パラグライダー用空域情報通知システム」と、尾畑洋さんの「ラズパイを使った電子民族楽器」に贈られた。

 松下さんが受賞したのは、昨年優秀賞を受賞したパラグライダー向けの作品をさらに発展させるアイデアだ。本コンテストのスポンサーである英OKdo社が無償で提供した、低消費電力で広いエリアをカバーする通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」の対応ボード「LoRa GPS HAT」などを活用する。

 パラグライダーはうまく上昇気流をつかまえれば、数時間にわたるフライトを楽しめる。最も一般的な上昇気流を「サーマル」と呼び、サーマルは通常、上空の雲の底のところ(雲底高度)でなくなってしまう。上級者は雲底高度に近づくと、その場を離れ、別のサーマルを探す。雲底高度は地上の温湿度を計測すれば算出できるため、飛行中に携行するラズパイと、地上のゲートウエイ間でLPWAで通信し、リアルタイムで雲底高度を音声で通知するシステムを考えた。コンテストの締め切りには間に合わなかったが、開発を進めているところだ。

 尾畑さんは、「ラオス笙」という特殊な楽器をラズパイで実現した(図5、動画はこちら)。日本にもある笙は木や金属から成り、いわば「生き物」だ。定期的なメンテナンスに手間もコストもかかるため、維持を諦める人も多い。そこでメンテナンスの要らない笙をラズパイで実現した。気圧センサーで息を検知して音を鳴らす。センサーが結露しないようにヒーターも取り付けた。

図5 「ラズパイを使った電子民族楽器」
https://youtu.be/czMOqnC3fJ4より引用。