教育データを標準化

 学習指導要領にコードを割り振るのは、デジタル教科書・教材から得られた教育データを教育の質改善などにつなげることが目的だ。学習履歴やテスト結果、eポートフォリオなどの教育データを分析するラーニングアナリティクスは、近年研究が盛んになっている(図8、図9)。

●デジタル教材や資料とひも付く
図8 学習指導要領へのコード付与によって、デジタル教科書から教材や問題集、関連資料などに自動でリンクできるようにする。出所: 文部科学省「学習指導要領のコード化(案)について」
図9 コード化は教員にもメリットがある。特定の教科・単元に関する、指導案や教材を簡単に探せるようになる。出所: 文部科学省「学習指導要領のコード化(案)について」

 例えば、教育ビッグデータを横断的に分析すれば、「あるデジタル教科書のある記述は多くの児童・生徒がマーキングした」「ある単元では教科書閲覧時の滞留が多かった」といった事実が分かり、教科書や授業方法の改善に役立つ。反対に、1人の子供について学習履歴を分析すると、理解が不十分な単元や苦手な分野が客観的なデータとして示される。その情報を基にAI(人工知能)ドリルが適切な問題を出題すれば、学力の向上が期待できる。

 ただし、富山大学名誉教授の山西潤一氏は「そもそも教育データが標準化されていなければ比較・分析ができず、学習の個別最適化は難しい」と指摘する。デジタル教科書・教材から得られたデータの形式が教科書会社や教材ごとにバラバラでは比較すらできないというわけだ。そこで、文部科学省が2020年7月に立ち上げた「教育データの利活用に関する有識者会議」では、学習指導要領へのコード付与と並行して、教育データの標準化が検討されている。

 この会議で座長を務める東北大学大学院の堀田氏によると、「会議ではデータ形式を決めるのではなく、データ形式をどう決めればよいのかを決める」のだという。データ形式に国際的な標準規格を採用するのか、日本独自の仕様を定めるのかといった議論がなされるとみられる。

初出:2020年10月19日発行「日経パソコン 教育とICT No.14」