日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)は例年、ICT活用教育に関する取り組みを表彰する「ICT夢コンテスト」を実施している。表彰事例は毎年、秋に発表。同振興会が春に開催するイベント「教育の情報化推進フォーラム」で、受賞者が実践内容を発表している。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年3月に予定していた同フォーラムは開催中止となった。このため、2020年10月30、31日に大阪で開催した「第5回 関西教育ICT展」の会場で、2019年度の受賞者の一部が実践事例を発表した。この中から、文部科学大臣賞(学校)を受賞した東京都の新宿区立富久小学校 岩本紅葉主任教諭、審査委員長特別賞を受賞した宇都宮市にある宇都宮大学共同教育学部附属小学校 渡邊雅浩教諭の実践事例を紹介しよう。

 岩本主任教諭の受賞テーマは、「ICTを最大限に活用した近未来の展示会」。東京都三鷹市にある前任校の東三鷹学園三鷹市立第一小学校での取り組みだ。これは、2年ごとに開催している校内の展覧会にICTを活用した事例で、「プログラミングソフトを利用したプロジェクションマッピング」「電子工作の展示」「AR(拡張現実)を使った作品のメイキング映像の公開」などからなる。

 プロジェクションマッピングは、ビジュアルプログラミング言語「ビスケット」を使って6年生が作成した映像を投映した。児童は地元在住のピアニストの演奏を鑑賞してイメージを膨らませ、そのイメージを基に色や形を組み合わせて映像を作った。また、発泡スチロールを使って体育館に大きな「城」を組み立て、そこに映像を映し出した。

発泡スチロールを使って体育館に大きな「城」を組み立て、そこにプロジェクションマッピングの映像を映し出した
出所:岩本主任教諭の発表資料
ビジュアルプログラミング言語「ビスケット」を使って児童が作成した映像を投映した
出所:岩本主任教諭の発表資料

 電子工作は「未来の遊園地」をテーマに、6年生が動く作品を共同制作した。マグネット式のモジュールをつなぎ合わせて回路を作るツール「little Bits」を使って、観覧車や空中ブランコ、メリーゴーラウンド、ジェットコースターなどの作品を作った。ARは作成ツール「マチアルキ」を使って作成。展覧会場のポスターに、スマートフォンやタブレットをかざすと、図工の授業で児童が「未来の遊園地」の作品を作っている様子を映像で閲覧できるようにした。

「未来の遊園地」をテーマに6年生が共同制作した動く作品
出所:岩本主任教諭の発表資料

 岩本主任教諭は東京都新宿区にある現任校の新宿区立富久小学校でもプロジェクションマッピングの取り組みを実施している。2020年11月13日の同校の開校90周年記念式典では、「90周年をお祝いする動画」をテーマに6年生が映像を制作。在校生や関係者に披露した。

児童がプラスチック段ボールに白いテープで絵を描き、そこに映像を投映した
「90周年をお祝いする動画」をテーマに6年生が映像を作った
新宿区立富久小学校の図工専科の岩本紅葉主任教諭