LMSの履歴から学修の改善を目指す
大学における一般情報教育やICTを活用した学習支援に関しては、LMS(学習管理システム)に蓄積されるデータの活用を目指した研究発表があった。例えば、徳島大学 教授の金西計英氏は、LMSが学生に「個別適切な学習系列」を誘導するシステムについて発表した。
金西氏は「知識伝達型学習の過程は基本的に『教科書を読む』と『問題を解く』という2つの状態の遷移。それなら機械学習の一種である強化学習を使って次の学修行動を推奨できるのではないかと考えた」という。初等中等教育向けにはAI(人工知能)を活用した学習分析・リコメンドシステムは増えているが、大学のLMS上でも学びの道筋を示してくれるような仕組みができるのか注目だ。
大阪教育大学 准教授の尾崎拓郎氏は、完全オンデマンド方式による情報基礎科目の授業実践について報告した。この授業は必履修科目で、1000人近い受講者がいる。LMSを使った完全オンデマンド方式の授業なので、受講者の学修行動を分析できる。
その結果、授業を一定以上の回数欠席した学生は、ある時期からLMSにアクセスしなくなり、ドロップアウトしてしまう傾向があることが分かった。また、欠席数と評定の間には関連性があるという。このため、ドロップアウトの防止や成績向上に向け、授業の出席率向上を目指すとしている。