大学ICT推進協議会(AXIES)情報教育部会と情報処理学会一般情報教育委員会は2021年12月18日、シンポジウム「これからの大学の情報教育」をオンラインで開催した。基調講演に登壇したのは京都大学 教授の喜多 一氏。「マルチプラットフォーム時代の情報教育 — 問題提起」というテーマで講演した。

演習を伴う情報系科目では、学生が使うデバイスに配慮しないとトラブルが起こる。特にプログラム開発環境の違いは大きい
演習を伴う情報系科目では、学生が使うデバイスに配慮しないとトラブルが起こる。特にプログラム開発環境の違いは大きい
(出所:喜多 一氏の発表スライド)
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 2020年に始まったコロナ禍以降、教育現場でのICT活用が急速に進んだ。小中学校には児童・生徒全員にコンピューターが配備され、大学では一時期ほとんどの授業がオンラインになった。学習者だけでなく、教員もICT機器を使うのが当たり前になり、会合や打ち合わせはオンライン化された。こうした状況の中、喜多氏は「大学や機関によって使うオンライン会議サービスがさまざま。授業の仕方も学校ごとに異なる。複数の大学で教える非常勤講師は特に苦労している」と指摘した。

高等学校でもコンピューターの必携化が進めば、大学にもその端末を持って入学してくる可能性が高い
高等学校でもコンピューターの必携化が進めば、大学にもその端末を持って入学してくる可能性が高い
(出所:喜多 一氏の発表スライド)
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 初等中等教育と高等教育のつながりも課題になりそうだ。小中学校に配備されたGIGAスクール端末は、Chromebookが4割、Windowsパソコンが3割、「iPad」が3割となり、地域や学校、学年によって使うOSが異なる。そこからつながる高等学校では、これから主にBYOD(自身の端末持ち込み)で導入が進む見込みだ。喜多氏は、「初等中等教育で生徒が使った端末も利用経験もバラバラ。そうした学生が、各自の端末を持って大学に入学してくる。大学の一般情報教育ではどのように教えたらよいのか。マルチプラットフォームの影響を被るのは一般情報教育の教員だ」と問題を提起した。

 基調講演に続いて、奈良女子大学 非常勤講師の竹中章勝氏が「初等中等教育における情報教育と高校版GIGAスクール構想」、川崎市立高津高等学校 総括教諭の露木律文氏が「高等学校におけるGIGAスクール構想の現状とOS選定について」と題して講演した。その後、シンポジウムの参加者は5つの分科会に分かれて情報交換や議論を進め、最後のパネル討論においてその結果を報告した。