国立極地研究所は例年、南極・昭和基地から教員が授業を行う「教員南極派遣プログラム」を実施している。2021年度は2人の教員が、南極授業を担当する。本連載は、そのうちの一人、宇都宮大学共同教育学部附属小学校の渡邊雅浩教諭の寄稿と国立極地研究所の協力で、南極授業に向けた取り組みを紹介する。

 こんにちは! 教員南極派遣プログラムで南極へ向かっている、宇都宮大学共同教育学部附属小学校の渡邊雅浩です。

 2021年12月10日、南極観測船「しらせ」は南極大陸の定着氷縁に到達し、ラミングという船の重さで氷を割り進む航行に入りました。昭和基地までもう少しです。この記事が掲載されるころには、私は昭和基地で授業作りをしていることと思います。日本を11月10日に出港して1カ月と少し。その間、船内で南極授業の準備を行っていました。今回は、その授業準備についてお伝えします。

南極観測船「しらせ」で南極に向かう渡邊雅浩教諭
南極観測船「しらせ」で南極に向かう渡邊雅浩教諭
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 教員南極派遣プログラムで南極に行く教員は、南極で観測隊の野外観測に同行したり、設営作業に参加したりしながら取材活動を行い、授業の準備をします。そのため、船内では改めて観測隊の方々が南極でどんな観測活動や設営作業を行うかを学んだり、直接話を聞きに行って、同行させていただく依頼に伺ったりしました。

船内で開講する「しらせ大学」に参加

 船内では、観測隊からしらせ乗員に向けて、それぞれの観測活動を伝える「しらせ大学」という講義が開かれました。我々派遣教員も、しらせ大学で観測の狙いや活動内容、行動予定などを学び、自分のテーマと照らし合わせて南極授業で子供たちに伝えたい内容を考えます。その後、野外観測を行う観測隊のお部屋や船内の観測室に伺い、自分の授業案を基に同行したい旨を伝え、ヘリオペ(ヘリコプターオペレーションの通称)調整を行います。

 ヘリオペとは、南極観測隊が野外に調査に行く際、ヘリコプターで現地へ行くための一連の飛行作業のことを言います。第63次南極地域観測隊では、牛尾収輝隊長の下、内陸旅行、氷河、宙空、地質、重力、測地、地震、生物、気象、大気の10のグループがそれぞれ夏期間のヘリオペスケジュールを組んでいました。そこに、同行者として取材したい旨を伝え、スケジュール調整をして同行させていただきます。私は今回、「しらせ」が昭和基地のある東オングル島沖に接岸してから南極授業までの49日間の内、ラングホブデ氷河への同行など、13日間の野外活動への同行希望を出しました。現地ならではの活動を取材し、南極授業に生かせればと思います。

 また、残りの日数は昭和基地に滞在することとなります。そこでは、授業準備のほかに、当直業務や昭和基地の環境科学棟や旧電離棟、地学棟内部の解体作業等の設営作業に参加します。そのため、船内では、過去の事故例集を基にした安全講習やKY(危険予知)活動の研修を受けました。われわれ教員も、マンパワーとして、昭和基地の維持、建築作業に貢献できればと思います。