男子は理系、女子は文系──そんなイメージを持っている人は少なくないでしょう。

 経済協力開発機構(OECD)が2021年9月に発表したデータ※1によると、大学などの高等教育機関に入学した学生のうち、理系分野に占める女性の割合は比較可能なOECD加盟国36カ国の中で日本が最も低いという結果が出ています。「自然科学・数学・統計学」の分野において加盟国の平均は52%でしたが、日本は27%。「工学・製造・建築」の分野では加盟国平均が26%でしたが、日本は16%。日本は理系に進む女子が特に少ないのです。

※1 OECD「The Pursuit of Gender Equality: An Uphill Battle」(http://www.compareyourcountry.org/gender-equality/en/0//default/

 OECDによるPISA2018(生徒の学習到達度調査)※2では、日本の女子だけが特に理系分野を苦手としているわけではありません。にもかかわらず日本で理系の女子が少ないのは、性差によるイメージです。小学生の頃は算数が得意だった女子も、中学、高校と進学していくうちに、周囲の友達、先生、親などから「女子は文系」と刷り込まれてしまうのです。結果、理系の学校や学部はますます男子の比率が高くなります。理系に進みたいと考えていた女子が進学で二の足を踏むのも無理はありません。

※2 PISA2018(https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/03_result.pdf

 理系で活躍する女性があまりいないことも、影響を与えているでしょう。中高で理系の科目を担当する先生はほとんどが男性です。テレビで見る理工学の専門家も多くは男性。理系の仕事に就いている女性をロールモデルとする機会がないのです。

理系女子を増やす取り組み

 理系の分野に才能を持つ人が、女子だからという理由で文系に進むことは、日本のテクノロジー分野の発展に大きなマイナスとなります。近ごろは「ベビーテック」や「フェムテック」など、女性が関わる分野のDX化も進んできており、女性ならではの発想が必要不可欠です。

 内閣府男女共同参画局は、「リコチャレ※3」という取り組みを行っています。理工系分野に興味がある女子中高生・女子学生が将来の選択肢を拡大できるよう、支援しているのです。

※3 リコチャレ(https://www.gender.go.jp/c-challenge/

 IT・STEM分野のジェンダーギャップを解消するために、女子中高生を支援している団体もあります。「Waffle(ワッフル)※4」は、世界100カ国が参加する女子中高生向けアプリコンテスト「Technovation Girls(テクノベーションガールズ)」の日本パートナーとして活動しています。同コンテストに出場したい女子中高生を募集し、レノボ・ジャパンなどの企業のメンターの力を借りて、アプリの設計、製作まで進みます。

※4 Waffle(https://waffle-waffle.org/

 私は2021年4月に行われたピッチイベントを取材しました。外国人の移住を支援するアプリや、動物性の食品を摂取しない外国人旅行者や在留外国人の食事をサポートするアプリなどが製作されていました。ターゲットからヒアリングした上で設計したり、将来クラウドファンディングで資金を集める計画を立てたりするなど、レベルの高い発表が見られました。

 10年ほど前、「リケジョ」という言葉がブームになったものの、理系に進学する女子は相変わらず少ない現状があります。IT人材の不足が叫ばれる中、優秀な才能が性差によって消えないことを願います。

出典:日経パソコン、2022年1月10日号、同名コラムより
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