検査ラインを見学した後に、製造フロアに入る。だだっ広い1フロアに製造ラインは設けられている。人が作業している場所、人がいない場所の大きく2つに分かれる。

ロボットと人が協業

 最初に見たのは製造機械(ロボット)が実装作業をしているライン。もう一つが出来上がった基板と必要部品を工員が手作業で組み立てて完成させるラインである。ロボットが基板へのパーツ実装、人間は最終組み立てを行っている。工員たちが立ち作業台に向かって黙々と手を動かしている作業を生で見るのは初めてだが、なじみのある光景だ。ある人はパソコンのきょう体にLet’s note独特の「円形タッチパッド(ホイールパッド)」をひっくり返し、円形のパーツをものの見事にカシカシとはめ込んでいく。無駄のないスムーズな動き。まさに“匠の技”だ。

工員による組み立て工程
(写真:パナソニック)
工員による組み立て工程
(写真:パナソニック)

 一方、ロボットが何十台も並ぶメイン基板の実装作業ラインは、目を凝らさないと装置の中で何が行われているのかよく分からない。じっと見ていると、マシンの「手」が基板に細かなパーツを高速で装着している動きが見えてくる。

 この機械製造ラインの後半工程の場所で目を引くのが、人型の汎用ロボットの作業の様子だ。サングラスをかけたような目(センサー)が付いていて、2本のアームを動かして、手先のドライバーやピンセットのようなツールを自ら差し替えながら、送られてきた基板にパーツ装着やラベルの貼り付け、検査、ラックへの収納までを器用にこなしていく。

 人型双腕ロボットは熟練工の動きの真似をさせて、少しでも熟練技に近づけようと調整、プログラミングを施し、日々進化している。さらに、設置場所のすぐ隣にアーム型の組み立てロボットが隣り合わせに設置されている。2台のロボットの動きを見ていると、時折、互いにぶつかりそうに接近することがある。このときには、人型双腕ロボットが一瞬動きを止めて、アーム型ロボットをやり過ごす。

基板の実装機器の製造ライン
人型双腕ロボットが器用に組み立てや検査を行う
人型双腕ロボット(左)とアーム型ロボットが1mもない距離で作業実施。ぶつからないように制御プログラムを進化させている

ロボットと人の並び作業を想定

 「いずれは、人と人との間に先ほどの人型双腕ロボットを設置することも予定しています。人と隣り合った場所での作業を想定して、あえて2台並べて互いの動きの邪魔をせずに安全に作業が進められるよう経験値を集めているところです」と話すのは工場案内をしてくれたCNS・神戸工場の大井光司・量産化推進部長。

 ついにここまできたのか。この匠の領域にまでロボットが入り込んできたのか。我々人間ならではの能力が発揮できるエリアにもロボットは浸食してきたということだろうか。

 「神戸工場の中では、人のノウハウへの依存から脱却して、スマートファクトリー化を進めている。おそらく基板実装工程での自動化は100%近くまで達成できるだろう。しかし、匠の技がモノをいう最終の組み立て作業は自動化ができて7割まで。しかも7割に至るまでに5年はかかるんじゃないでしょうか」(清水工場長)。