もう一つのコンサルティング事業。パソコンの製造工場のスタッフが取り組むジャンルとしてはちょっと不思議な気がする。その布石として、2017年にパナソニックは物流支援事業を行う欧州のゼテス・インダストリーズ(ゼテス)を買収した。同社の持つノウハウの中で、倉庫などの入出庫や配送に関わる省人化、省力化に役立つ「見える化」の技術を日本市場向けにカスタマイズして、2018年12月から「配送見える化ソリューション」、2019年7月からは「倉庫見える化ソリューション」を発売した。

 ソリューションの実例として、バーコード読み取り方式の革新がある。通常、製造に必要な部品には複数のバーコードが付けられている。これまではバーコードリーダーで一つひとつ手作業で読み取っていた。ゼテスのシステムではカメラを使ってバーコードを同時に一括して読み取れるので、これまで1商品の読み取りに15~18秒かかっていた作業が6秒程度に短縮できるという。

 倉庫や運送などの作業現場では使われる機器に堅牢さが強く求められる。Let’s noteやTOGHBOOKなどの軽くて頑丈な製品づくりを追求してきた神戸工場だけに、こうした物流支援事業への進出は意外に身近な世界だったようだ。

バーコードリーダーでの情報読み取りではバーコードの数だけ手を動かす必要がある
写真読み取り式なら複数のバーコードを1回の撮影で読み取れる

“体験型ショウルーム”としての工場

 神戸工場では毎年、小中高校生とその家族を神戸工場に招き、Let’s noteの組み立て体験会を催してきた。今年も8月3日に親子50組を招いて体験会を実施する。参加者は自分だけのオリジナルLet’s noteを作り、家に持ち帰ることだろう。2018年には体験型ショウルームとして2000人以上の訪問客を迎えたという。

組み立て体験会ではLet’s noteのきょう体の色も好みのものを選べる

 神戸工場の役割はもはやパソコンというモノを作るだけではない。パソコン購入者へのアフターケアであったり、ショールームとしてパソコンのPRに努めたり。一瞬畑違いではと思われるような、企業へのコンサルティング事業を始めたり。ロボットとの協業時代に、人間にしかできないものは何か。そのヒントを神戸工場は見せてくれているのかもしれない。