10代の流行は移り変わりが非常に速く、それはITサービスに関しても同様です。しかし、2018年に人気が急上昇し、2019年もまだ勢いが衰えそうにない注目のサービスがあります。それが「TikTok(ティックトック)」です。

 TikTokとは、口パクやダンスなどを簡単に投稿できるショートムービー共有サービスです。運営は中国のBytedanceで、グーグルが発表した国内の「Google Play ベスト オブ 2018」では、TikTokがアプリの「エンターテイメント部門」でベストアプリを獲得しています。中高生に絞ってみると、2018年5月発表の「女子中高生と動画サービスに関する調査(プリキャンティーンズラボ byGMO)」で、LINEやTwitter、Instagramといった人気SNSに続いて4位にランクイン。芸能人も個人アカウントを作って発信するなど、かなりの盛り上がりを見せています。

 TikTokで最もシェアされるのは、リップシンク動画と呼ばれる口パク動画です。音楽に合わせてまるで歌っているかのように口を動かすのです。そして、TikTok内でお決まりのダンスを踊ります。ダンスといっても、大抵は手を動かす程度の簡単な振り付けで、誰でまねをすることができます。口パク動画はアプリでBGMを選んで録画するだけで作成でき、ズームや早回し、フィルター効果を掛けるのも簡単。あっという間にクオリティーの高い動画が完成します。さらに、プリクラ世代にはうれしい目を大きくしたり肌をきれいにする美顔加工もあります。この投稿へのハードルの低さがTikTok人気の理由と言われています。

音楽業界も人気に便乗

 ところで、1983年にラッツ&スターがリリースした「め組の人」をご存じでしょうか。昨年の春ころ、Tik Tokで倖田來未が2010年にカバーした曲をBGMに、目の横で「めっ」のポーズをする動画が大流行しました。その影響で音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」でランキング1位を獲得するなど、リバイバルのリバイバルともいえる現象が巻き起こりました。

 この動きに、音楽業界も乗り出しています。人気のアーティストが多数所属する音楽レーベル、エイベックスは2018年10月にTikTokと包括的楽曲ライセンス契約を交わしました。また、音楽ストリーミングサービス「AWA」も同10月に提携しています。TikTokでBGMに使われることにより、以前の旧譜や名曲のリバイバルヒット、アーティスト人気の再燃などが十分期待できるプラットフォームだからでしょう。

 「#だれでもダンス」や「#こっちを見て」など、ハッシュタグ付きでシェアされるネタは、TikTokの定番ネタとなっています。最近ではこうしたダンスだけでなく、ペットや料理、面白動画などの投稿も少しずつ増えてきており、投稿者も10代を中心に大人世代へと広がってきました。

 最大15秒の短い動画で、つまらなければ画面を上にフリックするだけで次の動画を見られるTikTokのスピード感が、今のスマホカルチャーにぴったりマッチしているのです。

出典:日経パソコン、2019年2月11日号、同名コラムより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。