ByteDance ホームページより

 音楽に合わせて口パクしたり、身振り手振りでできるダンスをしたり……。若者を中心に人気が急上昇している「TikTok(ティックトック)」には、楽しそうなショートムービーがたくさん投稿されています。とはいえ、1本最大15秒の動画ですし、何時間も見続けることは少ないと思いますよね。ところが実際は、1日に何時間も見るユーザーが多いのです。それは、TikTokがサポートした「デジタルウェルビーイング」機能からうかがい知ることができます。

 デジタルウェルビーイングとは、「ウェルビーイング(健康で幸福な状態)」をデジタルの世界でも実現しようという施策です。米アップルや米グーグル、そして米フェイスブックなどが取り組みを始めており、Tik Tokもデジタルウェルビーイング機能をサポートしました。具体的には、機能をオンにした場合、利用時間が2時間を超えるとパスワードの入力が求められるようになります。これは逆に言えば、2時間以上利用するユーザーが多いと捉えることができます。若年層の利用が多いTikTokだけに、保護者の不安を払拭する機能を早めに用意した印象です。

進んでいるAI技術

 なぜユーザーはTikTokにそこまで引きつけられてしまうのでしょうか。それは「おすすめ」に出てくる動画の秀逸さです。「おすすめ」には、自分がフォローしていないユーザーの動画も表示されるのですが、Tik Tokで人気動画だけでなく、その閲覧者の好みをAIで判定し、見たいであろう動画を優先的に表示する仕組みになっています。

 TikTokを運営するバイトダンスは中国の企業で、2012年に「Toutiao(今日頭条)」というニュースサービスをリリースして急成長しました。このサービスは、Web上の記事を独自のアルゴリズムで選定し、サイトやアプリで配信するAI技術を駆使することで成功しています。同社のWebサイトには、そのAI技術について「バイトダンスのすべてのコンテンツプラットフォームの核心的技術」としており、「大規模な機械学習アルゴリズムを活用し、ユーザーごとに最も関心があるコンテンツを提供」すると述べています。ニュースサービスで培ったレコメンド技術を、TikTokにも応用しているわけです。

 AI技術は「おすすめ」だけではありません。動画の解析も優れているため、TikTokで動画に施される美顔加工は動きが速くても決してずれることがなく、顔の細かな表情に追随します。あまりにスムーズなため、ユーザーはテクノロジーを意識せずに楽しむことができるのです。

 さらに、若年層を守るためにもAI技術を使っています。動画に危険な動作を検知したら警告バナーを入れたり、不適切な行動を取っていたユーザーの行動パターンを解析して予見に役立てたりといった対策が実装されています。出会いリスクの対策も自動化しており、メッセージを3回返信されていない人は出会い目的と判断し、自動ブロックする仕組みもあります。TikTokの人気の裏には、このような優れた技術が使われているのです。

出典:日経パソコン、2019年2月25日号、同名コラムより
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