大人にはあまり知られていませんが、若い世代から根強い支持を集めているアプリがあります。それは、海外製の無料音楽アプリです。著作権違反やアプリの利用権限の問題なども指摘されており、同種のアプリが出てはストアから削除されるいたちごっこが続いています。そのたびにユーザーは名前の変わったアプリを追いかけてインストールしており、常に無料アプリのランキング上位に入っています。

 なぜ人気かといえば、まず無料で音楽が聴けること。主に違法アップロードされた音楽をアプリから視聴する仕組みなのです。そして音楽のダウンロードが可能なこと。通信量の節約が重要な高校生にはありがたい機能です。また、若者が大好きなYouTubeは音楽の視聴にもよく使われているのですが、無料での音楽視聴は画面を開きっぱなしにしなければなりません。それではバッテリー消費が早まりますし、スマホでほかのことができなくなります。ところが、無料音楽アプリはバックグラウンド再生が可能なのです。

 ただし、若い世代にも「このアプリは違法」という認識はあり、応援しているアーティストの楽曲は購入しています。また、サブスクリプション制の音楽サービスがいくつも普及してきており、無料で楽しめる範囲が広がったため、少しずつ状況は変わっていくかもしれません。

 有料コンテンツの購入は音楽以外でも厳しいようです。MMD研究所が2018年11月に発表した「中高生のデジタルコンテンツの利用と消費調査」によると、 無料で利用しているデジタルコンテンツが有料化した場合、83.2%が「他の無料のコンテンツを探す」と答えています。同調査では、電子マネーや現金で有料デジタルコンテンツを購入したことがある中高生は14.0%にとどまっています。やはり、自由になるお金が少ない中高生は、なるべく無料のサービスで乗り切りたい気持ちがあるのでしょう。

大人も有料には足踏み

 アプリ内課金について、ゲームにハマって課金している女子高生に会って聞いたことがあります。彼女はアルバイト代をゲームのアイテム購入につぎ込み、「お金が全然ない」と言っていました。彼女がのめり込んでいるゲームはイケメンを育成するシミュレーションゲームです。親にはゲーム課金をしていることは内緒だそうです。もともとゲームが好きで、ゲームセンターで遊ぶこともあったので、ゲームにお金をかけることに抵抗を感じていないそうです。

 では中高生以外の世代は、有料コンテンツ購入やアプリ内課金はしているのでしょうか。ヴァリューズが2018年7月に発表した「アプリ内課金実態調査」によると、アプリ内課金を行っているのは全体の32.5%。上位を占めたジャンルは、男女とも電子書籍アプリでした。この調査は20歳から60歳以上までを対象としていますが、購入していない人の方が大多数です。世代を超えて、有料コンテンツやアプリ内課金へのハードルは高めといえそうです。

出典:日経パソコン、2019年4月22日号、同名コラムより
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