自分が今どこにいるか、常に友人に公開する──こんなアプリが若者の間で流行しています。アプリ名は「Zenly(ゼンリー)」。フランスのゼンリーが提供するこのアプリは、2018年11月にAMFが発表した「JC・JK流行語大賞2018」のアプリ部門第3位にランクイン、2019年9月現在はAppStoreの「ソーシャルネットワーキングカテゴリ」においてLINEに続いて2位になっています。

 Zenlyをインストールすると、自分の居場所が地図上に表示されます。電話番号やIDでつながった人の現在地も地図上に並びます。スマホの電池残量や移動スピード、滞在時間などをお互いに確認することができ、メッセージの送受信や通話もできるようになります。

 居場所から知り合いが何をしているかも推測できます。家でくつろいでいるのか、学校から電車で帰宅中なのか、ディズニーリゾートで遊んでいるのかなど、プライバシーともいえる情報が筒抜けです。

 また、つながっている人同士であれば、誰と誰が会っているかも分かります。同じ場所に2人以上が集まると、炎のアニメーションで表示されるからです。例えば、Zenlyで炎が上がっている場所を見つけてタップすると、そこはカラオケボックスで、数人が集まっていたとします。すると「今このメンバーでカラオケしているんだ」ということが分かりますね。もし自分が参加したければ、「私も行きたい!」と合流することができるのです。

当然、抵抗を感じる人も

 若い世代は自分の居場所を垂れ流すことに抵抗を感じないのでしょうか。それは現在の交友関係の在り方と関係しています。彼らは、LINEやInstagramなどのSNSで常に連絡を取り合っています。Instagramのライブ中継機能で友人と遊んでいる様子を流したり、LINEのビデオ通話でグループで話したりしています。今更、居場所を隠したいと思っていないのです。

 むしろ「Zenlyでつながっていれば、わざわざ居場所を教える手間がない」と考えています。一緒に遊ぶことになったとき、はっきりと待ち合わせ場所や時間を決める必要がなくなるからです。また、メッセージを送った相手がアルバイト中だと分かれば、返信が遅くても気になりません。反対に、相手が家にいることを確認して、メッセージを送ることもできるわけです。

 もちろん、このようなアプリを絶対に入れたくないという若者もいます。Zenlyでは自分の居場所を「あいまい」、もしくは隠すこともできますが、相手に曖昧にしていることが知られる仕組みになっています。余計に勘ぐられてしまう可能性もあるため、それならいっそ利用しないという選択になるのでしょう。

 若い世代ほど自分が何を発信しているのかを把握しています。友人との付き合いで仕方ないケースもあるのでしょうが、個人それぞれの判断基準でSNSを選ぶ時代になったともいえそうです。

出典:日経パソコン、2019年10月28日号、同名コラムより
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