「質問箱」(左)とInstagramのストーリーズ(右)

 「Peing(ペイング)-質問箱-」(以下、質問箱)というサービスをご存じでしょうか。Twitterを使っている人なら、誰かが質問に答えている様子を見たことがあるかもしれませんね。質問箱は匿名で質問を受けられるサービスです。使い方は、自分の質問箱を作成してそのリンクをSNSのプロフィールに記載しておきます。すると誰かが質問してくれるので、回答をSNSにシェアします。

 「好きな服の色は?」「小学生のとき得意だった科目は?」など、たわいもない質問がほとんどですが、「相手の人格を疑うときはどんなとき?」など思想に切り込む質問がされることもあります。

 この「質問箱」が、いま10代に大人気なのです。マイナビが発表した「2018年版10代女子が選ぶトレンドランキング」の「流行ったコト」では9位、若者向けマーケティング企業のAMFによる「2018年上半期のJC・JK流行語大賞」の「アプリ部門」で3位になるほど支持を集め、もはや定番となっています。

 当初は芸能人がファンからの質問を受け付けるために使われていたサービスですが、現在は一般人も質問箱を開設しています。中高生の場合は、「昨日のタピオカ、おいしかったよね。また行く?」など、匿名でありながら質問主が誰か分かる質問をして、会話を楽しむこともあります。一方、匿名だからこそ、「本当はあんたのことムカついている」などと悪口を送る人もいます。回答をシェアしなければ悪口を言われていることはほかの人には知られないのですが、気分の良いものではありませんよね。

質問されたい理由

 別のサービスを使わなくても、質問のやり取りを楽しめるSNSがあります。それはInstagramのストーリーズ機能です。ストーリーズには、「質問」「アンケート」「クイズ」などのスタンプ機能があり、投稿するときにこれらのスタンプを付けると、閲覧者と交流できるのです。例えば、「質問はありますか?」というスタンプ付きで投稿すると、閲覧した人が質問を投げかけてくれます。投稿主はストーリーズのシェアの形で回答することができます。

 質問機能を利用する人たちは、なぜこんなに質問を受け付けたいのでしょう。一つは、「投稿ネタが欲しい」からです。SNSで友人とやり取りしたいけれど特に話題が見つからないとき、質問を募集すればたくさんの人と交流できます。

 もう一つは、自分が経験した出来事や考えを話すきっかけが欲しいからです。自分のことをもっと人に知ってほしい、もっと話したいと思っていても、突然自分語りするのは恥ずかしいもの。でも、質問への回答だったら、「聞かれたから答えた」という体裁をとれます。質問箱には「自分に質問する」という機能も用意されています。自分が話したいことを自分に質問すると、まるで誰かに聞かれたかのように回答することができるのです。まさに自分語りにぴったりの機能ですね。

 さらに、運営チームも時折質問を投げかけるため、質問が途絶えることはありません。ちなみに、運営からの質問も匿名で来るため、友人からの質問に絞りたい場合は、これを切ることもできます。

 SNSは近況をシェアするものですが、質問形式なら自然に過去の自分も知ってもらえるわけですね。

出典:日経パソコン、2019年11月25日号、同名コラムより
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