10代の女性は日常的に自撮りをします。出先で友人と撮ったり、メイクがうまくできた記念に1人で撮ったりと、スマホで撮影する写真の多くが自撮り写真です。でも、そんな自撮り好きな女性たちにとって、恐ろしい事件が起こりました。

 それは、アイドル活動をする女性がSNSに投稿した自撮り写真の瞳に映った景色から自宅を割り出した犯人が、わいせつな行為に及んだ事件です。そんなことができるなんて、思いもしませんでしたよね。犯人は、SNSの顔写真の瞳の部分から駅の景色を確認し、グーグルの「ストリートビュー」を使って、特徴が似ている駅を探し出したそうです。そして、駅で待ち伏せし、後をつけて被害女性の自宅マンションを割り出しました。さらに、女性が投稿している動画から部屋の位置まで突き止め、帰宅を狙って襲いかかったといいます。

 被害に遭ってしまった女性を責めることはできませんが、結果的に居場所を特定できる情報をネットに公開してしまっていたことになります。もちろん、瞳に映った景色で推測するなんて、この事件が起こるまで誰も考えていませんでしたし、動画から部屋の位置を割り出されるなんて予想もしていなかったでしょう。複数の情報を組み合わせて人物や場所を特定することはネットでよく行われ、「特定班」などと呼ばれますが、今回もSNSにアップしていた複数の写真と動画がかなりのヒントになったはずです。

高解像度カメラの弊害

 この事件は、スマホのカメラが高解像度に進化してきたことも理由の一つでしょう。2017年3月、国立情報学研究所の越前功教授らの研究チームは、3mの距離から撮影した指の画像から指紋情報を読み取り、復元できることを指摘しました。これにより、不正ログインやなりすましなどに悪用される危険があるため、指紋情報の悪用防止技術の開発に取り組み、改良に成功したそうです。ピースサインで写真を撮ることはかなり多くの人がしている行為ですから、これも心配な事例ですね。

 SNSに公開する写真は、「Exif」という撮影場所の位置情報に関するデータが付いていても、サービス側で削除して公開します。ですから、写真データ自体では、位置情報は分かりません。しかし、写っている風景にある電柱やマンホール、特徴的な建物から、その場所を割り出すことは容易にできます。1人では難しくても、悪意を持った誰かが「ここがどこだか分かる?」とネットに投稿すれば、誰かしらが見つけ出すからです。また、投稿時間と日射の方向で、方角を推測することも可能です。

 SNSは写真や動画をやり取りすることがとても楽しいツールです。文字では表現が難しい状況も、写真や動画なら詳細を伝えることができます。それは一方で、悪意を持った人にも情報を与えていることになります。最近では時間がたつと自動で消える機能も流行していますが、これもスクリーンショットで残される可能性があります。撮影した写真や動画にプライバシーが漏れる情報が入っていないか、SNSに投稿する前に確認し、危ない箇所はモザイクやスタンプで隠すようにしましょう。特に若い女性は狙われる危険があることを伝えてあげてくださいね。

出典:日経パソコン、2019年12月9日号、同名コラムより
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