チームで敵と戦うゲームでは、ユーザー同士の仲が親密 になりやすい(画面は「荒野行動」のWebサイト)

 2019年1月、20代のシングルマザーが小学6年生への強制性交の疑いで逮捕されました。このあまりにも意外な組み合わせのきっかけは、スマホで遊べるオンラインゲームでした。オンラインゲームで知り合った男児を20代女性が誘い、福岡県に住む男児を香川県まで呼び出して性行為に及んだのです。

 そのゲームは「荒野行動」というバトルゲームです。中国の「NetEaseGames(網易)」が開発し、2017年11月にリリースしました。App ApeLabの調査※1によると、2018年3月のアクティブユーザーは10代男性がトップで34.2%、続いて20代男性25.2%と、若い世代の男性に人気があります。オンライン上の仲間とチームを組んで敵と戦うのですが、その際に文字や音声でチャットしながらプレイすることができ、その連帯感も魅力の一つになっています。

 TesTee Labが2018年11月に発表した調査※2によると、荒野行動を「一人でプレイする」人が72.7%、次いで「友人と集まってプレイする」が64.2%、「離れた友人と通話しながらプレイする」が54.5%と、誰かと一緒にプレイするユーザーが多いという結果になりました。「友人」の定義がはっきりしていないのですが、学校の同級生と時間を決めて始めたり、オンラインで知り合ったゲーム仲間とプレイしたりなどが考えられます。

 前述の男児と女性も一緒にゲームで戦い、チャットで交流しているうちに仲が深まったとのことです。心を開いた相手に誘われたので、会いに行ってしまったのかもしれません。

SNSからゲームへの流入も

 先の調査では、「SNSで一緒にプレイする人を探してからプレイする」人も14.7%いることから、ゲーム内だけでなく、SNSでのつながりもある人たちとプレイしていることが分かります。

 2019年11月に発生した大阪の小学6年生誘拐事件も荒野行動のユーザーだったとされています。実際に誘拐に使われたメッセージサービスは、TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)だったとのことですが、女児のTwitterと思われるアカウントには、荒野行動のユーザーと交流している様子が残っていました。ゲームユーザーがSNSを通じて仲間を増やしたり、交流したりしていることは珍しくありません。

 「出会える」といわれているゲームは荒野行動だけではありません。「わくわくファンタジー(Restar Games)」はかわいい絵柄のRPG(ロールプレイングゲーム)ですが、恋愛システムが搭載されており、知り合ったユーザーとゲーム内で結婚することもできます。「Ash Tale~風の大陸~(X-LEGENDENTERTAINMENT JAPAN)」も5人で協力するRPGで、同じく結婚できるシステムがあります。荒野行動も今後結婚システムを導入する予定です。

 オンラインゲームは毎日のようにチャットし、同じ目的に向かって取り組み、達成の喜びを分かち合うため、ユーザー同士の仲が親密になりやすい特徴があります。だからこそ楽しいのですが、未成年がプレイする際には時間を忘れてのめり込んだり、悪い大人に誘われたりする危険も大きいという側面もあります。ゲームに詳しい人でなければ、まさかゲームが出会い系と同じような場になるとは想像もできませんね。もしお子さんが始めたいと言ったら、あくまでもゲーム内の交流にとどめるよう、話しておくとよいでしょう。

※1 https://lab.appa.pe/2018-05/knivesout-app.html
※2 https://lab.testee.co/knivesout-result

出典:日経パソコン、2020年1月27日号、同名コラムより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。