スマホの普及によって、漫画もスマホで読む人が増えてきました。テスティーが運営する「それちょう」の2020年12月の調査※1によると、10代男女が漫画を読むときに利用する媒体では、「スマートフォン(Webマンガ、漫画アプリ)」という回答が6割を超えてトップです。次いで、「マンガ雑誌(単行本、文庫コミック)」が約5割と、電子と紙を併用して楽しんでいる様子がうかがえます。

※1 テスティー「それちょう」「マンガアプリ」に関する調査(https://note.com/sorechou/n/n2f9dbe4fce83

 Web漫画や漫画アプリは、手元のスマホですぐに読める上に、無料で楽しめる漫画も多いことで人気です。そして今、こうした電子漫画に新たな潮流が生まれています。それは「縦読み漫画」です。

 縦読み漫画とは、スマホの画面で読むことを基本とした漫画で、画面を縦にスクロールして読み進めます。一般的な漫画のコマ割りでは視線を横に動かすこともありますが、縦読み漫画は視線の方向は下へ進みます。ページという概念もなく、下にスクロールしていけば、続きが読めます。

 日本では数年前から急増している縦読み漫画ですが、韓国で2004年に始まった「NAVER WEBTOON」が流行のきっかけです。日本では縦読み漫画の形式を「ウェブトゥーン」と呼んでいます。

 ウェブトゥーンは、スマホの縦画面いっぱいに表示されることから没入感が高く、フルカラーやBGM付きの漫画もあり、これまでの漫画とは違う楽しみ方ができます。

 制作側も異なる体制で挑めます。伝統的な漫画は漫画家が独自のテクニックで全て演出しますが、ウェブトゥーンに代表されるデジタル漫画では、絵を描く人、色を塗る人とより分業がしやすくなります。また、映像を作っていた企業も参入しやすいといわれています。

縦長コンテンツの流行

 MMD研究所が2020年12月に発表した「コミックアプリの利用実態調査」※2によると、「利用したことがあるコミックアプリ」の1位は「LINEマンガ」(LINE DigitalFrontier)で46.1%、2位が「ピッコマ」(カカオピッコマ)の35.1%、3位の「めちゃコミック」(アムタス)が27.0%です。LINEマンガの運営元は韓国NAVERグループの子会社で、ピッコマは韓国カカオの日本法人のサービスです。このように、漫画アプリは韓国系の企業が強く、日本でのウェブトゥーン流行の背景がうかがえます。

※2 MMD研究所「コミックアプリの利用実態調査」(https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1913.html

 漫画だけでなく、動画サービスも縦長画面へのシフトが起きています。短尺動画共有サービス「TikTok」は縦長動画が基本で、操作も上下に指を動かすだけです。「Instagram」と「Facebook」の短尺動画「リール」、「YouTube」の「YouTube ショート」も同様です。

 縦長画面対応のサービスは、スマホを持ち替える必要がありません。ほかの作業をしながら並行して漫画を読むという動作が簡単にできます。また、漫画アプリは1話が短く区切られており、縦長動画も10秒程度のものが多く、短い時間で楽しめるという特徴があります。スマホ時代に合ったウェブトゥーン、そして縦長の動画サービスは、今後も広がっていくと思われます。

出典:日経パソコン、2022年6月27日号、同名コラムより
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