「Instagram」は、2020年8月に国内で「リール」機能を開始しました。リールは短尺動画を投稿できる機能です。BGMを付けたりエフェクトをかけたりして、楽しい動画をすぐに作成できる編集機能も用意されています。

 リールのリリース時には、同じく短尺動画をシェアするサービス「TikTok」の対抗とも言われ、大いに盛り上がりました。しかし、当初はリールを見てもTikTokで作成した動画(TikTokのロゴ入り)を転載しているものや、海外の動画が多く、「リールがTikTokほど盛り上がることはないのでは」という声も挙がっていました。1年近くたった今、両者はどのように使われているのでしょうか。

 Z総研が2021年3月に12~25歳の女性に対して行った調査では、「リールとTikTokはどちらの方が見ますか?」という問いに、65.6%が「TikTokの方がよく見る」と答えています。視聴時間を見ると、リールは30分未満が55.0%と最も多いのに対し、TikTokは1~2時間未満が最も多く31.0%、次が30分から1時間未満で22.7%と、TikTokの方が長く視聴されていることが分かります。

※Z総研トレンド通信Vol.9『Instagram 後編』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000020799.html

 ちなみに、TikTokは最長60秒、リールは最長30秒の動画を公開できます。しかし、実際には15秒程度の短い動画が多く、しかも数秒見て「つまらない」と判断したらフリックして飛ばせるので、30分視聴したとしても相当な数の動画を見ていることになります。

利用目的によって違い

 調査では、見ている動画の種類が異なることも分かりました。どちらも「美容系」がトップなのですが、TikTokは「ネタ系」「ファッション系」「ダンス系」など幅広いコンテンツが見られています。一方のリールは、「ファッション系」以外の視聴は少ないという結果です。

 この違いはアプリのUIによるところが大きいと考えています。TikTokは基本的にフォローしているアカウントの投稿を見るのではなく、「おすすめ」に表示される投稿を見る人がほとんどです。つまりTikTokが、その人が好きなジャンルとしてAIで判断した動画を視聴しているのです。時々見たことがなかったジャンルの動画も差し込まれるため、ユーザーは飽きずに視聴できます。

 一方のリールは、Instagramの「発見」タブに表示されるお薦めから、もしくは「リール」タブから視聴します。Instagramで何か情報を探したいときにリールが目に入ります。

 要するに、特に目的がないまま楽しみたいときはTikTokを開き、情報を得たいときはInstagramを開いてリールを見る、といった使い分けがされています。

 しかし、リールは新機能でさらに追撃します。ほかのリール動画とコラボレーションできる「リミックス」機能を2021年3月にローンチしました()。これは、TikTokが2018年5月から提供している「デュエット」機能と同種の機能です。例えば、人気のダンスを踊っている動画を左に、自分を右に配置して、同じ曲を一緒に踊っているような動画を作成できます。Instagramを情報収集だけでなく、エンタメを楽しむ場としても使ってほしいという意向が感じられます。今後もますます注目です。

出典:日経パソコン、2021年7月26日号、同名コラムより
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