「警視庁犯罪抑止対策本部(@MPD_hanyoku)」による警告ツイート
「警視庁犯罪抑止対策本部(@MPD_hanyoku)」による警告ツイート
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 「俺だけど、会社の金をなくしちゃって。すぐに振り込んでくれない?」と息子や孫になりすまして電話をし、金銭などをだまし取る「特殊詐欺(オレオレ詐欺)」の被害は後を絶ちません。そして悪質な犯罪であるにもかかわらず、アルバイト気分で加担してしまう10代がいるのです。

 2022年1月には14歳の少年が現金を受け取る「受け子」の役割を引き受けたとして逮捕されました。彼は、「Instagram」で知り合った人からたびたび依頼されていたそうです。ほかにも10代が受け子を引き受けて逮捕される事案はよく起こっており、彼らはSNSでの募集に応募して犯罪に手を染めるケースが多いそうです。

 特殊詐欺で報酬を得ることは、SNSで「闇バイト」や「裏バイト」などと呼ばれています。「Twitter」やInstagramで検索すると、「日当15万円以上」「未経験者大歓迎」などとうたい、DMで連絡するよう呼び掛けている投稿がヒットします。はっきりと「闇バイト」とは言わずに「荷物運び」「荷受け」と表現したり、強盗を意味する「叩き」という言葉を使っているケースもあります。

 こうしたアカウントにDMを送ると、「LINE」や「Telegram」などのメッセージアプリで連絡するように指示されます。Telegramとはロシア発のアプリで、メッセージの保存期間を指定できる機能があり、履歴を残さずに連絡できます。スクリーンショットを残そうとしても、撮影ができないか、相手に撮影したことが通知されます。さらに運営側でも通信ログを見ることができない高度な機密性を持っているため、犯罪者に使われやすい側面もあります。

気軽に応じてはダメ、絶対!

 応募するとすぐにメッセージが来て、どれくらい働けるかなどのやり取りをします。その後、台本とともに送られてきた住所に向かい、現金を受け取り、詐欺グループに引き渡すと報酬を得られます。

 闇バイトに手を染めた側は詐欺グループの情報を何も教えてもらえませんが、詐欺グループには自分の顔写真付き身分証明書のコピー、携帯電話の番号、家族の連絡先などを伝えており、逆らうことができない状況に陥ります。気軽な気持ちで加担してしまうと、二度と抜けられなくなってしまうのです。

 こうした事態を防ぐため、警視庁はネットでも活動に力を入れています。「警視庁犯罪抑止対策本部」などのTwitterアカウントは、闇バイト募集のツイートに対して、「このツイートは法律に違反する恐れがあります」などと警告のツイートをリプライで付けています。闇バイト募集のツイートを見た人が警告を見て踏みとどまることができるからです。また、依頼を断れずに悩んでいる人に対する相談窓口の紹介もしています。

 指示をしている詐欺グループは逮捕されず、逮捕される人は受け子を引き受けた人ばかりです。また、「荷受け代行バイト」として個人情報を送ると勝手に携帯電話を契約されて多額の料金を請求されるなど、SNSで知り合った相手から詐欺に遭う被害はほかにも数多く起きています。SNSでバイトを探す若者は珍しくありませんが、こうした怪しいバイトに手を出さないよう、アドバイスしてあげてください。

出典:日経パソコン、2022年7月25日号、同名コラムより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。