スティーブ・ジョブズ(前アップルCEO)が米国で初代iPhoneを発表してから、早10年がたちました。今の10代は幼い頃からスマートフォン(スマホ)やタブレットが身近にあり、いつでもインターネットを利用できる環境で育っています。パソコンがインターネットにつながったときの驚きと感動を覚えている大人は多いと思いますが、若い世代にとってネットは日常なのです。

 では、世代によって利用機器に違いはあるのでしょうか。総務省が発表した「平成29年度 情報通信白書」の「インターネット利用機器の状況」によると、スマートフォンよりパソコンの利用率が高いのは50代以上の年代で、それ以下の年代はスマートフォンをメインに利用しています。パソコンの利用率を年代別に注目してみても、19歳までが62%、40~49歳までが73%と、若い年代が少し低いものの、それほど乖離(かいり)しているわけではありません。若年層のスマートフォン保有率は高いとはいえ、スマートフォンとパソコンの利用状況に関しては世代にそれほど差はないようです。

パソコンって何をするもの?

 このように、データを見る限りは若者だけがパソコンから離れているとは言えませんが、私が取材で会う女子高生たちは「パソコンが何をするものか分からない」と話します。

 友人や家族との連絡はLINE、画像加工はアプリ、調べ物はTwitterやInstagramなどのSNSを検索、と中高生の日常はスマホで完結しています。パソコンが必要な機会がないのです。

 前述の女子高生の一人は「DVDを見るときパソコンを使う」と言っていましたが、DVDプレーヤーがあればよいとの意見が出て、やはりパソコンの必要性はないという結論になりました。さらに女子高生たちは、スマホ世代の自分たちが大人になれば、全てスマホで行うような社会をつくるであろうから、パソコンは消滅すると考えています。

 彼女たちが口々に言うのは、「フリック入力でパソコンを使いたい」という要望です。大学生以降は大学のレポート作りにパソコンが必要になること、さらに社会人になればオフィスソフトを使いこなさなければならないことは理解しています。ただ、キーボードのキー配置になじみがなく、片手でも入力できるフリックの方が素早く入力できるため、キーボードにストレスを感じるのです。ある女子高生はiPhoneで文章を作成してから、パソコンに送信してWordに貼り付けていました。二度手間に感じますが、彼女にとってはその方が簡単なのです。また、スマホの日本語入力アプリは推測変換をタップするだけで書き進められる点もよいと話していました。

 必ずしもパソコンになじまなければならないことはありませんが、複雑な文書の作成や動画編集を行うとなれば、スマホよりパソコンです。用途に合わせてデバイスを使い分ける技能も学ぶべきでしょう。音声入力も使われ始めた昨今、10代のキーボードアレルギーを克服することがIT教育の課題かもしれません。

出典:日経パソコン、2018年8月13日号、同名コラムより
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