自画撮り被害に遭った児童の8割は面識のない者から、そしてその相手とは9割以上がコミュニティサイトで出会っている
(警察庁Webサイトより)

 中高生たちはTwitterでの気軽な交流を楽しんでいます。リアルな人間関係と結び付かないTwitterであれば、趣味の話題だけで盛り上がったり、架空のキャラクターになりきって遊んだりもできます。友達や家族の悪口も言いたい放題です。

 そんな心の隙間に入り込んできたのが、「座間9遺体事件」の犯人です。Twitterなどで「死にたい」とつぶやいている人に目を付け、メッセージで少しずつ心を開かせ、「一緒に死のう」と実際に会うことを提案していたそうです。被害者9人のうち8人が女性で、そのうち4人が10代の女性でした。ある報道では、話を聞いてくれる人が欲しかったから彼と親しくなりたかったという人もいたようです。

 ネットで出会った知らない人に実際に会うなんて、大人からすれば当然危ないことだと考えます。しかし、最近は大人でもFacebookなどSNSでつながった人と会うことは珍しくなくなっていますよね。会う前に何回かメッセージを交わしているうちに、なんとなく相手の人格が分かった気がすると警戒するのをやめてしまうものです。

 デジタルアーツが2018年3月に発表した「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」によると、小学校4年生から高校生までの子どもの中でネットで知り合った友達と実際に会ってみたい、または会ったことがある人は50.4%と、約半数がネットとリアルの境目を特に気にしていないことが分かります。女子高生に絞ると、67.6%の人が実際に友達になりたいと考えています。

 しかし、実際はネットでの立ち居振る舞いはいくらでも偽装できますし、どこかで人物画像を取得すれば性別も年齢も簡単にごまかすことができます。

自画撮り被害に遭う子も多い

 「自画撮り被害」という言葉をご存じでしょうか。SNSで知り合った人に自分の裸の画像を送るよう強制される被害を指します。警察庁が発表した「平成30年における子供の性被害の状況」によると、自画撮り被害は児童ポルノ事件の約4割を占めています。なぜ面識のない人に裸画像を送るのかと思いますが、大人の巧みな脅しに逆らえなくなってしまうからです。東京都青少年・治安対策本部のWebサイトに掲載されている被害事例では、ネットで知り合った女性のふりをした男性に「体の悩みの相談にのるから」と裸画像を送るように言われた、「裸を見せないと殺すよ」と脅迫されたといった事例が紹介されています。裸の写真を送ると今度はその件でゆすられ、強姦被害に遭った女子もいます。こうしたトラブルに陥ったとき、自分にも落ち度があるのではないかと考えて、周囲の大人に相談できないまま、悪化してしまうケースがたくさんあるのです。

 前述のデジタルアーツの調査で、子どもはネットで知り合った人との間に起こる事件は他人事だと捉えていることがデータに表れています。しかし、油断しているといつその矢が自分に刺さるのか分かりません。SNSでの出会いは楽しい面もありますが、事件に発展している事例があることもぜひ伝えてほしいと思います。

出典:日経パソコン、2018年11月26日号、同名コラムより
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