新型コロナ関連のニュースが続く中、あるYouTuberの行動が話題になりました。「迷惑系YouTuber」と呼ばれるその人物は、愛知県内のスーパーで会計前の魚の切り身のパックを開けて食べる様子をYouTubeにアップしたため、窃盗容疑で逮捕されました。

 その後、彼は新型コロナウイルスに感染していたことが判明。逮捕前に東京都、千葉県、静岡県、広島県、山口県に滞在し、愛知県内を移動していました。激しくせき込んだ後に「コロナ」とつぶやいている動画もあり、高熱も出ていたため、本人も自覚していたと思われます。村岡嗣政山口県知事は「極めて異例」としながら、YouTuber「へずまりゅう」の行動歴を公表。接触者に注意を呼び掛けました。日本全体が新型コロナ対策で必死のさなかに起こした軽はずみな行為に、誰もが衝撃を受けました。

 もともと、へずまりゅうは炎上を狙った動画を配信するYouTuberとして、ほかのYouTuberからも疎んじられていました。YouTuberを仕事としている人たちの自宅などに張り込み、無理やり一緒にコラボする動画を撮影しては勝手に公開していたのです。中には、YouTuberの妻子まで映し、公開しないでほしいとの頼みも聞かずに公開するなど、かなり悪質な行為もありました。

 へずまりゅうはなぜこうした迷惑行為や犯罪を犯して動画を配信するのでしょうか。それは、「有名になってお金持ちになりたい」という夢を持っていたからです。YouTubeで知名度を上げ、企業からの仕事を受けることで稼げるという投稿も残されています。知名度があっても、信頼されない人物に仕事を依頼する企業はないと思いますが、YouTube やSNSを始めればフォロワーがすぐに付き、実際に金銭を援助している人物もいたようなので、勘違いしてしまったのでしょう。

視聴しないように心掛ける

 配信プラットフォームであるYouTubeも、こうしたYouTuberを野放しにしているわけではありません。不適切だと判断したアカウントは削除しています。へずまりゅうはプロフィールに「YouTube垢バン8回日本記録達成者!」と載せており、垢バン(アカウント削除)されることを自慢しています。消されてもまた簡単にアカウントを作り直せるため、痛手はないのです。

 こうした仕組みのため、悪ふざけをする人は後を絶ちません。新型コロナで芸能人が亡くなったり、不倫などの不祥事を起こしたりすると、すぐに「○○の弟です」といった親族を名乗るデマ動画がわらわらと出現します。恐らくその人たちも、閲覧数やチャンネル登録数を上げて有名になりたい、またはYouTubeからの広告収入を得たいと考えているのだと思います。

 しかし、実際には安易な人気稼ぎは通用しません。もし、周囲にふざけた動画を投稿したがる学生やYouTuber志望者がいたら、止めましょう。また、小学生以下のお子さんには、YouTubeを再生することで悪い人を喜ばせてしまうことを説明してあげてください。YouTubeに任せておくだけでなく、ユーザーの私たちも悪質な配信者がのさばらないような環境づくりに協力していくことが大切です。

出典:日経パソコン、2020年9月28日号、同名コラムより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。