

大人世代が若者だった時代、好きな芸能人やミュージシャンの話をするときは「私は○○のファン」「〇〇の追っかけ」などと言っていましたね。今の若者は「私の推しは〇〇」という言い方をします。ファンクラブに入ったり、コンサートグッズを買ったりと、行為自体はあまり変わらないのですが、若者は「推し」を応援することを「推し活」と呼び、推しに対して消費することに喜びを感じています。受動的だったファン活動が、自分たちから能動的に行う推し活へと意識が変わっているのですね。
推し活には当然、資金が必要です。SHIBUYA109エンタテイメントが2020年4月~5月に15~24歳の女性を対象に調査※1をしたところ、「1年間で自由に使える平均金額」が約57.7万円に対し、「1年間でヲタ活に使う平均金額」は約5.8万円という結果で、約10.1%をヲタ活に費やしていることも分かりました。ヲタ活のためにアルバイトを増やしたり、節約をしたりして資金繰りしているとのこと。涙ぐましいですね。
※1 SHIBUYA109 lab. × CCCマーケティング共同調査第三弾!around20女子の“ヲタ活”生態比較(https://www.shibuya109.co.jp/news/2721/)
推しを応援するために、フリマアプリも活用します。推しを応援するには新品の購入が基本ですが、どうしても手に入らないものがあるからです。それは、自分が推す前に発売されていたCDやグッズなどです。
推しのグッズを売るなんてあり得ないことですが、推しが変わったとき、すなわち「推し変」となったときには、これまで集めていた推しグッズを売ります。その際にフリマアプリを使うのです。推していた芸能人を応援する人にグッズを譲り渡せば最後の応援になりますし、新たな推しのグッズをそろえる資金も手に入ります。
フリマで「推し変」を狙う
楽天がフリマアプリ「ラクマ」のユーザー(15~22歳女性)に対して2020年11月に実施した調査※2によると、フリマアプリで購入した物の1位が「ヲタ活グッズ(47.3%)」となったとのこと。次点は「ファッションアイテム(30.8%)」ですが、3位は「アーティストやアイドルのCD・DVD(26.7%)」と、また推し活につながる物がランクインしています。
※2 SHIBUYA109 lab.×楽天「ラクマ」共同調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000095.000033586.html)
フリマアプリ「メルカリ」をのぞいてみても、アニメキャラクターのキーホルダーや、推しのカラー(複数メンバーの場合はそれぞれに色が割り振られていることが多い)のグッズなどが多数販売されています。
以前、ある女子大生に話を聞いたところ、「好きなグループのカプセルトイを購入したところ、推しではないメンバーが出てしまったのでメルカリで売った。秒で売れた。自分の洋服を売ろうとしたときは全然売れなかったのに、推しグッズはすぐ売れる」と言っていました。カプセルトイは何が出てくるか分からないため、推しが出てくるまでチャレンジします。そのときに出た不要なグッズをメルカリで売れば、また自分の推しへ貢ぐ資金になります。
スマホアプリでこつこつポイントをためたり、クーポンアプリを使ったりと、堅実な消費生活を送っている若者ですが、推しにはお金をつぎ込んでいます。ITサービスをうまく利用して、お金の使い道を吟味しているということですね。
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