「念力による間接的なスプーン曲げ」は脳波(“念力”)を検知して、スプーンを曲げる装置です(図1)。セガトイズの脳波を測ってボールを動かす玩具「マインドフレックス」を使って集中度を計り、その集中度に応じてサーボモーターの力でスプーンを曲げます。

図1 集中度に応じてスプーンが曲がる
図1 集中度に応じてスプーンが曲がる
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  マインドフレックスには脳波を検知するヘッドセットが付属しており(図2)、ヘッドセットとゲーム盤の間は無線通信になっています。この無線信号を調べたところ、ボーレート9600bps、データ長は8ビット、パリティビットなし、ストップビット、フロー制御なしという36バイトのシリアル信号が1秒ごとに出力されていました。その中に集中度の情報があり、0~100の範囲で値が示されることが分かりました。この信号を“念力”として扱うことにしました。

図2 マインドフレックスに付属のヘッドセット
図2 マインドフレックスに付属のヘッドセット
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スプーンを曲げる仕組み

 図3はシステムの全体図です。脳波計のヘッドセットはフォトカプラを経由して有線でラズパイZero WHに接続します。ラズパイでは信号を解析して、10連のLEDを備えたレベルメーターで集中度を表示します。さらに、無線マイコンのTWELITE(トワイライト)で集中度の情報をスプーン曲げ装置に送信します。

図3 システムの全体図
図3 システムの全体図
ラズパイでは脳波の集中度を調べて、無線モジュール経由でスプーン折り曲げ装置に指示を出す。
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 スプーン曲げ装置もTWELITEを搭載しており、集中度の信号を受信するとPICマイコンのPIC16F648Aを介してサーボモーターを動かします。

 並大抵のサーボモーターの力ではスプーンを曲げることはできません。そこでスプーン曲げに使うサーボモーターには41.7kgf・cmと大きなトルクを備える近藤科学のKRS-4034HV ICSを使いました。図4のようにサーボモーターには金属ブラケットを装着し、このブラケットの回転でスプーンを押し曲げます。

図4 強力なサーボモーターでスプーンを折り曲げる
図4 強力なサーボモーターでスプーンを折り曲げる
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 スプーンをどのくらい曲げるかは、集中度の信号に応じて変えてます(図5)。集中度が0から90の間はサーボモーターはじわじわと動き、この段階ではスプーンは曲がりません。集中度に応じてサーボモーターのブラケットの角度も刻々と変わります。そして、集中度が91を超えるとサーボの回転角度を一気に増やし、スプーンが曲がります。

図5 集中度とサーボモーターの角度の関係
図5 集中度とサーボモーターの角度の関係
集中度が90を超えるとスプーンが曲がり始める。
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 今回の作品で脳波を取得していろいろなものをコントロールすることが可能になりました。生活に役立つような装置も開発できましたが、今回は実用性よりも「念力=スプーン曲げ」という直感的に分かる面白さを狙った作品に仕上げました。

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