2015年度から全生徒へのiPad導入を実現した近畿大学付属高等学校・中学校。現高校3年生が高校1年の時に始まったiPadの導入は今年度をもって完了した。ICTを活用した教育で先行する同校は外部の企業との新たな試みにも積極的で、5月には中高生向けのプログラミングキャンプなどを運営するライフイズテックによるプログラミング体験会も開催(関連記事)。同校ICT教育推進室の室長である乾武司教諭に、ICT教育に対する考えなどを聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=コンピュータ・ネットワーク局教育事業部)


 iPadを授業で活用する一方、プログラミング体験会(関連記事)なども開催しています。授業でもプログラミングに取り組んでいるのでしょうか。

近畿大学付属高等学校・中学校 ICT教育推進室 室長の乾武司教諭

 プログラミングについては、そうした考え方、例えばWebページのHTMLのように、自分が書き加えたものに対して結果がこのように反映する、といった実証には取り組んでいます。プログラミングほど複雑ではないけれども、自分が実際に書いたコード、テキストが、どのようなものとして表現されるのか、といったことです。

 実際プログラミングに関する教育は今後の課題で、ライフイズテックのプログラミング体験会はそのとっかかりだと思っています。正直、プログラミング教育は全員にやらせる必要はないと思っていますが、(体験会に参加した)生徒たちの顔を見ると、何か楽しそうで、何かを作り出すことに対して喜びを持てるような、そういう実感を与えられるものであればやる価値はあると思います。

ライフイズテックによるプログラミング体験会の様子

 ITそのものを教えることについてどのように考えているのでしょうか。

 「どこからがITで」というものではないと思っています。(iPadを)生徒に持たせるのも、こうした機器が日常生活で不可欠なものになっていくだろうから、学校教育の中でも使える限りどんどん使っていけばいいと考えています。どこからどこまでがIT教育、といった切り分けはあまりしていないです。生徒の生活全体の中でどうデザインするか、そういう学校の取り組みの問題だと思っています。

 ICTに絡めて反転学習やアクティブラーニングが取り上げられますが、それらはITに限った話ではありません。

 元々やっている人はやっていましたからね。ただITによって、それらは以前より取り組みやすくなるし、選択肢は広くなります。

 IT機器を導入する一番のメリットは、先生の“手駒”が増えること。使わないということも含めて、それに尽きると思います。今まではICT機器を使わない状態だと、黒板に書かざるを得なかったが、使うことによって、そうじゃなくてもいい状況が生まれる。黒板に書いてもいいし書かなくてもいい。そのときのベストを先生が選べる。そういうメリットがあると思っています。