専攻によって“基本”の概念がまちまちになることから、最初に柱となる教科書を選定した。そこで、LMSと連携できる日経BP社の教材サービス「日経パソコンEdu」と、同サービスの連携テキストを採用。その後、グループワークによる活用方式を採り入れ、90人×10クラス(加えて、離れた場所にいる夜間学部40人)による授業を行っている。

 片桐氏はオープンソースのLMSである「Moodle」の活用を実施のポイントとして強調した。「Moodleによって、出席確認、小テスト、プレテスト、最終テスト、グループワークの相互評価といったサイクルが非常に効率的に進んでいる」(片桐氏)。また、初期対応や不慣れな学生の窓口として、ICT理解の深い学生グループらが補助するICT支援ルームを設置。これにより、授業内での混乱が減少したとする。

全学共通の情報教育「ICT基礎a」の検討のポイント
(出所:大阪教育大学)
「ICT基礎a」の実施におけるポイント
(出所:大阪教育大学)

 2020年度から小学校で、プログラミング教育が必修になる。このため、教育大学としては、パソコン利活用時の著作権問題と並び、プログラミングの知識をどのように身につけていくかも課題となる。「自分がプログラミングの基礎を知らないことには学校現場で対応できなくなる」(片桐氏)ことから、ICT基礎aでどこまで対応するかも検討しているという。

自分で調べて身につける情報教育が大事――畿央大学

 畿央大学は、「健康」と「教育」の分野の人材育成に力を入れている奈良県の私立大学で、2011年から2期にわたって「情報環境基本計画」を進める“情報化先進校”である。第1期となる2011年~2014年には全学生へのパソコン貸与、学務システム、グループウエア、LMSの導入を果たし、現在は2015年~2018年の期間で第2期の計画に取り組む。

畿央大学 教育学習基盤部 部長の大山章博氏
(撮影:小口 正貴)

 畿央大学 教育学習基盤部 部長の大山章博氏によれば、第2期の目標は「1人1台のタブレットパソコン(2in1モデル)導入、サーバーのクラウド移行、パソコンルームの段階的削減、情報システムの維持管理から教育学習支援への重点シフト」となる。

 タブレットパソコンには「基本性能がしっかりしていること、グローバル戦略機種で少なくとも4年間ほどは機種の寿命があること」(大山氏)などを基準とし、日本マイクロソフトの「Surface」を導入した。大阪教育大学のBYOD方式とは異なり、こちらは大学が機器を購入して学生に無償貸与する「COPE」(Corporate Owned,Personally Enabled)方式を採用している。

畿央大学では2014年度から新入生全員に日本マイクロソフトの「Surface」を貸与している
(出所:畿央大学)

 ハードウエアのみならずクラウドを「Microsoft Azure」、ソフトを「Office365」とし、包括的に日本マイクロソフトのサポートを受けられる態勢を整えた。これは「バックヤードで日常的にしっかりしたサポートをしてもらわなければならない」(大山氏)との思いがあるからという。

 情報処理教育については、4年前に1年生全学科の必須科目として「情報処理演習I」を導入。多くの大学でスタンダードとなっていたOffice系ソフト操作の実践講座をやめ、操作については指導をしない方針に変更した。