しかし、英語の習得にとどまらず、バーチャルエクスチェンジには「異文化ショックを和らげる効果もある」という。エリック氏がバーチャルエクスチェンジに参加した学生に対して実施したアンケートによると、学生は初め異文化に触れるのを怖いと感じているが、バーチャルエクスチェンジによって順応していくという。

大学と高校が連携して観光情報を英語で発信

 もう一つの特別講演では、札幌国際大学 観光学部 川名典人学部長が、3年にわたるICTを活用した高大連携の人材教育ついて報告した。

「高大接続におけるICTを利用したグローバル人材育成教育」と題して講演した札幌国際大学の川名典人教授

 同大学が観光学部を設置したのは1999年。2014年には「観光教育の充実に関する高大・地域連携協定」を斜里町、北海道斜里高等学校と結び、活動を続けてきた。世界遺産に指定された北海道の知床にある斜里町および斜里高等学校と連携し、ICTの活用によって観光を中心とした地域の将来を担う人材を育成するのが狙いだ。川奈氏によると、「観光学部を持つ札幌国際大学の知見を、知床という観光資源を持つ斜里町の人材育成や地域の活性化につなげ、大学として貢献する意義がある」という。

 連携を始めた2014年は、観光英会話の集中セミナーと、インターネットを介したテレビ英会話レッスンを実施した。教員と学生・生徒がiPadを持って観光スポットを訪れ、写真を撮る。学校に戻ってから写真を基に、参加した高校生と大学生が英語でディスカッションした。

 使用したiPadは、同大学が貸し出した。テレビ英会話レッスンでは、iPadの「FaceTime」を活用。また、英語の学習支援サイトを作成して生徒をサポートした。こうした支援サイトがないと、英会話レッスンの運営は難しいと話す。

 連携活動3年目になる2016年には、学生・生徒たちがiPadを持って斜里町内の魅力的な店や建物を撮影して回り、日本語と英語の説明を付けた観光案内書の作成を実践した。iPad上で動作するデータ管理ソフト「FileMaker Go」を使って川名氏があらかじめフォーマットを作成。そのフォーマットに学生たちがコメントや写真を登録していった。最終的には、それらの観光情報をアップルが提供する「iBooks」で電子書籍の形にまとめて公開した。

学生たちはiPadを使い、写真と英語・日本語の説明を付けた電子書籍を作成した
(札幌国際大学 川名典人教授の投影資料より、以下同じ)
作成した電子書籍はiTunes Store上で公開されている