だが、授業を担当する同校の一色秀之教諭は、「小学生なら作る楽しさを体験するのでよいが、中学校の技術の授業では身近にあるさまざまな製品やシステムがプログラムによって動いていることを、生徒たちのプログラミング体験を通して学ぶのが狙いだ」と語る。今回でいえば、ホームセキュリティというシステムが、センサーなどをプログラムによって制御して実現できるものだということを、授業を通じて理解させた。

オシロスコープアプリを使って音の要素を理解

 中学1年生の理科の授業は、音声の解析と認識がテーマだ。主に使うのは、マイクで取り込んだ音声を波形で表示するオシロスコープのアプリ「Soundbeam」(提供はHorizon Video Technologies)。生徒たちが声や音を出すと、iPadの画面にオシロスコープ風の波形が表示され、動画として記録される。生徒たちは二人一組で、楽器を弾いたり声を出したりして音を記録する。次に、録音した波形の画像をキャプチャーし、気が付いたことを手書きで書き込む。

オシロスコープの画面を模したアプリ。iPadのマイクで録音した音の波形を表示する
生徒たちは音楽室に移動し、ピアノを弾いたりリコーダーを吹いたり、あるいはカスタネットをたたいたりして音を記録していた
生徒は音の波形を見て、気が付いたことを書き込む

 録音した波形を見ると、ピアノとカスタネットでは波形が異なることが分かる。つまり、波形が異なることが音の種類(音色)の違いであることに気が付くわけだ。さらに、生徒にリコーダーを吹かせて高音と低音を記録し、波形を見ながら違いがあるか考えさせる。周波数が低い低音では波の間隔が広く、反対に高音は間隔が狭いことが視覚的に分かる。生徒たちはこうした経験を通じて、音には音色や高さといった要素があることを学んだ。

実際に高音と低音を記録し、波形の間隔が異なることをアプリで確認した。担当したのは、同校の境原周太郎教諭

 こうした知識は教科書でも学べるが、自らの体験や実験を通じて納得した方が理解が深まりやすい。音の波形はiPadを使わなくても計測機器で表示できるが、そうした機器は高価で、1回授業のために使うのは容易ではない。それがiPadと非常に安価なアプリ一つで実現できるところが、ICT活用のだいご味といえる。