システムの安全性と使い勝手のバランスを考え、データの流れを監視、制御することでリスクを減らせるという
(出所:上原哲太郎氏の発表スライドから)

 個人情報や機密情報の漏洩を防ぐため、自治体は個人情報を扱うネットワークとインターネットに接続するネットワークを切り離しているが、上原教授は「社会はシステム隔離よりも連携や開放を求めている。大学の中でもクラウド利用やテレワークによる働き方改革が進んでいる。インターネットから切り離すだけの対策ではなく、データフローの管理によってセキュリティ対策ができるのではないか」と提案した。

 典型的なのが、メールの添付に頼った業務フロー。「クラウドサービスを利用して文書を作成したり、クラウドストレージでデータを共有したりといった方法によってメールへのファイル添付を減らせば、リスクも減る」と指摘した。

メールが最も大きなリスクなので、業務フローからファイル添付メールをなくそうと主張した
(出所:上原哲太郎氏の発表スライドから)

チャットボットなど独自の教育支援ソフト開発も

 基調講演のほかに、ICT活用教育やICT基盤整備などに関するたくさんの発表があった。その中から「教育サポート」の分野で発表された二つの研究を紹介しよう。

 立正大学 情報環境基盤センターの峰内暁世氏ほか3人は、会話しながら学習や授業の振り返りなどができるチャットボットを開発した。学生はスマホなどを使い、LINE上のトークに表示される質問に回答することで、授業の予習や復習、繰り返し学習などができる。例えば授業の振り返りレポートの提出や次回の授業内容についての予告など、授業時間内の簡単なやり取りをチャットボットとの会話で代替すれば、授業時間をより有効に使えるという。

 教員に高度なICTスキルがなくても活用できるような工夫も盛り込んだ。チャットボットが提示する質問は「Googleスプレッドシート」に入力するだけで作れるようにした。