浅谷:1年半ほどかかりました。確かに最初のサービスは3日間で作りましたが、これは数名の先生にヒアリングしただけのもので、本当に先生の声が反映されているかは疑問でした。

 これまで解決されてこなかったということはそう簡単にはうまくいかないだろうと思い、まずはその領域を深く知らなくてはいけないと思いました。

 そこで1年半、サービスを開発しながら、全国を回ってフィールドワークをしました。授業を見学するだけでなく、先生の家に泊まりに行って普段の生活を見せてもらいました。生徒の前にいる先生と、友人や家族と話しているときの先生は違う顔を持っています。先生を一人の人間として切り出して観察しました。

山内:それは素晴らしいですね。何人ぐらいの先生に会われたんですか。

浅谷:対面で、1000人ほどにヒアリングしました。これはずいぶん苦労しました。人脈は先生の知り合いが一人しかないという状態でしたし、サービス自体もまだ始まっていない、海のものとも山のものともつかぬ段階です。先生方からしてみたら「こいつ誰だ? 言っていることの意味もよく分からない」という感じだったと思います。

 そこから少しずつ信頼してもらって、生の声を聞いて、「あいつはどうやら本気らしいから協力してみようか」と思っていただけるところまで信頼関係を作っていくのは、大変でしたね。

山内:1000人とは、すごい数ですね。

浅谷:先生ってそもそも100万人もいますし、それだけいれば当たり前ですが、人によって言うことが違うんですね。そこから共通点を見出すには、とにかくたくさんの先生に意見を聞かないと分からないなと思ったんです。

 先生方は、たまたま今抱えている課題について話してくれることが多いんです。当たり前すぎて課題として認識されていないような大きな問題は、意外と指摘されません。