プライドを傷つけずに、つまずきを指摘する

湯野川:もう一つすららに特徴的なのが、つまずき分析の仕組みです。ある問題ができなかったときに、間違えた原因はどこにあるかを特定します。

 例えば二人が池の周囲を逆方向から歩いて行って、どこで出会うかを導き出す問題。解くためには、「速さ」「単位」「方程式を組み立てる」「方程式を解く」の四つのスキルが必要です。これの何が理解できていないかを分析して、その勉強をやり直そうとリコメンドします。

山内:分析は、どのようにやっていますか。

湯野川:複数のアルゴリズムを使っています。こういうつまずき分析は優秀な先生ならできるのですが、そうした先生が無意識のうちにしていることをシミュレーションしているとお考えいただけばよいと思います。

山内:つまずきを指摘されることで、学習者のモチベーションが低下するといったことは起こりませんか。

湯野川:私たちもそうした仮説を立てて分析したのですが、実際には指摘された生徒はほぼ、復習に取り組むんですね。つまずきを指摘された方が、次回すららにログインするまでの時間が短くなるという結果が出ました。

 ここにはeラーニングの特性も関係していると思います。中学生が学校の先生に「小学校で習ったことも分かっていないのか」と言われたらショックでしょうが、すららの場合はひっそりと指摘するので。しかも、分かっていないのが小学校の範囲だとも言いませんし。

山内:なるほど。学校でも習熟度別にクラスを編成したりしますが、そうすると理解度が可視化されちゃうんですよね。「ああ、自分はできないクラスに分類された」ということが分かってしまう。それがモチベーション低下を招くことがあるのですが、eラーニングだとばれませんからね。

基礎学力の向上は、世界で求められている

湯野川:今は、すららの世界展開も始めています。既に、スリランカとインドネシアでサービスを開始しました。

 すららが注力している基礎学力の定着というテーマは、非常に汎用性が高いんですね。教育サービスの多くは成績上位層に向けたものですが、ほとんどが国内向けです。すららのような基礎学力を対象とした教材の方が、世界に通用しやすい。このことに、サービスを始めてから気づきました。