礒津:我々は、会社の基本コンセプトも「新たな教育インフラの創造に向けて」というメッセージにしています。既存の教育サービスを見ると、特に日本では受験勉強のためのサービスが多くて、「教育がとても狭い枠で捉えられているな」という印象がありました。もっと大きな枠組みで、新しいインフラを作れるようなビジネスをしたいと思ったんです。

 教育事業を始めるに当たっては「ITを活用しないとできないことをしたい」と考えました。そこで、インターネットを最大限に活用して、グローバルに事業を展開することにしました。

未知の社会問題を解決できる人材を育てる

礒津:ビジョンとしては、「300年先の未来をつくる教育」を掲げています。これから人工知能がますます発達して、色んな前提が根底からひっくり返るでしょう。悲観的に人類の未来を見たら、300年先は来ないという話が出ているほどです。

 こんな社会の中では、未知の社会問題を解決できる、イノベーティブな人材を育成することが求められます。そこで、未来を見据えた教育をビジョンにしました。

 ソニーから生まれた会社ということも、影響しています。ソニーという会社がこれまでいくつもイノベーションを起こしてきたので、ソニーのブランドで教育事業をやるなら、イノベーティブな人材の育成に注力すべきと考えました。

 とはいえイノベーティブな人材といっても様々な要素があります。そこで、まずは問題解決力や思考力に着目して、新しいサービスを展開しています。

山内:受験勉強対策とは全く違うサービスを打ち出されたんですね。

礒津:はい。まず、そもそも教育は何のためにあるかを真剣に考えたんです。日本をはじめ、アジア諸国では、いい学校に入るためのサービスの市場が大きくて、マネタイズもしやすいと思います。ただ、そのベースとなる、「国語」「算数」などの教科分けですら、前時代的ではないかと思いました。学習指導要領は数年ごとに改訂されますが、今はそれよりも時代の流れが速くなっています。従来の教科の分け方も、ITの時代には考え直すべきなのでは、と思ったんです。

 そこで私たちが目指すものとして「イノベーション教育」を掲げ、次世代のイノベーターを育成しようと決めました。そのために一番の近道になるのは、「STEM教育」です。科学(Science)、テクノロジー(Technology)、エンジニアリング(Engineering)、数学(Mathematics)、つまり理系教育です。先々は、ビジネスを一から作って社会に還元するような教育も重要だと考えています。