礒津:それはいろいろありました。まず法律面ですね。これは、世界各国で全然違うので相当苦労しました。

 例えば米国は、子どものプライバシーに関する法律が相当厳しいんですね。「COPPA」と呼ばれるんですけど、この法律では13歳以下の子どもの個人情報は、親の同意なくしては取得できないんです。

山内:では、どうされたんですか。

礒津:ユーザー体験としては良くないんですけど、世界算数では最初に登録者の年齢を入力してもらう仕組みになっています。米国の法律をクリアするのに必要だったからです。

 欧州にも、法律の問題があります。個人情報保護についての規制が厳しいのですが、今後も展開にあたっては注意していきたいと思っています。

中国向けには画像の解像度を落とす

礒津:中国については、技術的な課題がありました。中国では、外資系企業である我々がサーバーを中国内に設置することはできません。日本にサーバーを置きながら、現地でサービスを展開するので、アクセススピードの問題が出てしまいます。

 そこで、データをできるだけ軽くしました。例えば問題に含まれるイラストは、日本向けには高解像度で表示しますが、中国向けには少し解像度を落とすといった工夫をしています。現地までエンジニアが何度も出かけて、スピードを測定して、適切な解像度を決めました。こうして、中国でも快適に受験ができるようになりました。

 技術的な苦労は色々ありましたが、半年ほどで乗り越えることができました。これも、エンジニアが力を発揮してくれたおかげです。

山内:文化的な問題はありませんでしたか。

礒津:ありました。例えばある国では、過去の歴史から、特定の髪の色のキャラクターが敬遠されるという傾向があるんです。最初は我々も全く知らず、現地の人と話す中で気づいたんですけれど。

 ですから、子どものイラストはどれもシルエットにして、人種が分からないようにする工夫をしています。本当は、もっと魅力的なかわいいイラストにしたかったんですが。宗教的、文化的問題をクリアしてグローバルなサービスを作るには、こうする必要がありました。