草郷:カメラ以外にも不安定さはありました。何らかの不具合があった端末は、全体の数パーセントはあったと思います。当初の予想より多かったですね。交換もそれなりにさせていただきました。

山内:なるほど。こういう課題は、やっぱり直接お話をうかがってみないと分からないですね。

 とはいえ、タブレットで継続率は高まり、成績についても部分的に手応えは得られたわけですよね。その先は、どのように進んでいかれたのですか?

草郷:2014年に向けて本格的にサービス展開をする上で、デバイスの見直しをしました。学習に適したものはどれか、いろんな端末を検証した結果、iPadの採用を決めました。そして高校1~2年生向けに、「iPad mini 学習」という名称でサービスを始めました。

 サービス内容は基本的に2013年のものと同じなのですが、分からない部分を写真に撮って質問できるようにしたり、スケジュール管理機能を強化したりしました。

 また、iPad mini 学習では、端末は利用者に用意してもらう形にしました。市販で購入するより、少し安く入手できる方法を用意しました。

山内:端末の代金は、基本的に保護者が支払うんですか?

草郷:そうですね、それがほとんどです。

山内:iPadだと、ゲームとかネットとか、ほかにもいろいろできちゃいますよね。その点について、保護者から何かいわれませんでしたか。

草郷:それはすごく重要なポイントです。2013年に配布したAndroidタブレットは、あくまでZ会の学習専用の端末ということで、インターネットにはつながらないなど制限を掛けていました。その結果、「調べ物をしたいんだけどできなくて不便だ」とか、いろいろな声が上がっていたんです。我々が想定していたのは「もっと使用制限を掛けてほしい、セキュリティを担保してほしい」というクレームだったのですが、逆でした。

 ネットだけでなく、辞書なんかも便利ですしね。機能制限を掛けていないからこそ、深く活用してもらったという部分はありますね。

山内:それは興味深いですね。

草郷:実際に利用者のインタビューをしてみると、「iPadを使って、『iBooks』で洋書の原書を買って読んでいます」という子もいました。

山内:高校生で原書を読むとは、素晴らしい。Z会が良質なユーザーをつかんでいるということですよね。だから、iPadを安心して与えられたというのはあるんじゃないでしょうか。

 では、iPad mini学習は順調に展開できたんですね。

草郷:そうですね。答案の撮影のところでは、撮影のために答案を固定するキットみたいなものを用意しました。すごくアナログなんですけど、こういう工夫をしながら進めました。

当初の答案の撮影キット。答案を立てかけて撮影できる
(出所:Z会)
2016年版の答案撮影キット。台の上にiPadを置いて撮影する
(出所:Z会)