草郷:はい。基本的なコンセプトは、「パーソナライズ」です。これによって、一人ひとりが自分で、自分に合った内容を学べるようにするのが狙いです。

 そのために、アダプティブラーニングのテクノロジーで知られる米ニュートンと提携しました。ニュートンのエンジンを用いて、過去に取り組んだ問題の正誤データや、学習履歴、習熟度などに応じて学習内容をレコメンドします。さらに、人による指導も組み合わせて、機械的にはできない部分を補います。

 例えば英語では、「聴く」「読む」「書く」「話す」の4技能を身に付けられる教材を用意します。「話す」でいえば、発音に関する知識を得たり練習したりという部分では音声認識エンジンを使います。ただ、他人と会話するという部分では、オンライン英会話サービスのレアジョブと連携して、実際に講師と話します。それで、評価を付けます。

 評価方法も一新します。従来は模試などのテストを用いていましたが、これから本当に英語を活用できるようにするには、もっと世界的な評価指標を使う必要があるでしょう。欧州で広く使われている「CEFR」に準拠し、日本の英語教育に合わせて設定された「CEFR-J」を導入します。

「Asteria」の英語教材のイメージ
(出所:Z会)

 数学は、「代数」「幾何」「解析」「統計」の系統ごとに教材を構成します。現状の学習指導要領では、「数学I」とか「数学A」といった単位で各系統が分断されているのですが、系統ごとに一つのつながりとして深く学習できるようにします。余談になりますが、社内で数学を担当するメンバーが、「こういう教材をずっとやりたかったんだ」と言いながら作っています。

山内:確かに、よく練られていますね。

 せっかくの機会なので、アダプティブについて少し突っ込んで教えて下さい。これまでのお話にあった通り、アダプティブといえば、各種データを活用して、学習者の状況に合わせて問題を提示するエンジンを指すと思います。

 その点で見れば、Z会は既に様々なデータをお持ちですし、演習問題もたくさんあるし、学習者の情報もあります。やろうと思えば、アダプティブは自社でも実現できそうに見えます。何が足りなくて、ニュートンのエンジンを採用したのですか?