草郷:足りないのは、テクノロジーですね。AI(人工知能)とかデータ分析みたいな分野は、我々は強くありません。

 この問題に正解したら次はこの問題、不正解ならこっち、といったシナリオベースで学習内容を組み立てるのなら、我々だけでできるでしょう。でも、それだけでは物足りないんです。その問題に正解したからといって、その単元を理解できているとは限りませんから。

 実現したいのは、この単元が本質的に理解できているなら次の単元に進む、理解できていないなら関連する単元を復習するといった、個々人の理解度に基づくルーティングです。学習の履歴や習熟度などの様々なデータを基に、「この子が学習のゴールに到達するためにはどんなプロセスが有効か」をその都度計算して、動的にルーティングする。そのために、ニュートンのエンジンを採用しました。

一人ひとりの理解度や学習履歴に応じて、適切な学習内容を提示する
(出所:Z会)

山内:よく分かりました。ただそのためには、適切な入力データが求められると思うんですが、いかがですか。私はニュートンのテクニカルレポートなども読みましたが、エンジンに入力するデータをきちんと整備することが不可欠ではないかという印象を持ちました。

草郷:そうですね。ご指摘の通り、かなりかっちりとしたフォーマットに基づいて教材を整備する必要があります。具体的には、問題への回答からどんな学習者の習熟度が分かるか、この問題とこの問題はどんな関係性があるか、といった情報を用意しておく必要があります。

山内:やはりそうですよね。この点が、実は非常に大事なポイントです。

 アダプティブやAIは今、魔法の箱のように扱われている傾向があります。ニュートンに代表されるようなアダプティブのエンジンさえあれば、一人ひとりに合った教材が作れるかのように思われている。