山内:研究活動は、どういう流れで進めるんですか?

木村:まずはみんな、興味のあることについてWebで調べます。例えば「寿命」について調べたい、という子がいたんですが、「寿命 長く」なんかのキーワードで検索すると、長生きするための生薬とか健康法とかの情報がたくさん出てきます。生徒は最初それを真に受けて、怪しい情報をいっぱい持ってくるんですね。

 そこで、情報の信ぴょう性の話をします。研究テーマを決めるときには、特に信ぴょう性の検証を精密にしなくてはならない、と説明するんですね。教科「情報」の授業も活用して話します。すると最終的には、最も新しくて正しいであろう情報源として、査読の通った学術論文にたどり着くわけです。

東京大学で行われた対談の様子

木村:学術論文はそのほとんどが英語で書かれていますから、生徒たちは「理系のキャリアを目指す上で英語ができないとどうしようもない」ということにも気付きます。すると、英語の授業を受ける姿勢が変わります。このように研究活動と通常授業は密接に繋がっていきます。我々の真の目的は、そこにあります。

 でも、生徒たちは論文を全文和訳した段階で、内容を理解できないのは英語が読めなかったからではないと分かるんですね。完成した日本語が意味不明なのですから。難しいのは、内容を理解するのに必要な科学的なバックグラウンドなんです。一つの実験の原理を理解するのにも、理科や数学の基礎知識が相当必要になる。そうすると、知識欲が出てきて、学びたくなります。

 学習意欲は、それ以外の教科にもつながっていきます。例えば難しい論文の内容を分かりやすく、論理的にプレゼンしようとすると、国語を学びたくなる。その研究の社会的な意義や倫理的な側面を説明しようとすると、社会科が関係してきます。

教員と生徒が共に研究を進める

山内:先生は、研究活動をどのようにサポートしているんですか。

木村:現在は9名の教員で担当しています。生物、化学、数学など各分野の専門の教員が、指導教官的にサポートしている形です。

山内:では分からないことがあったら、自分で調べることもできるし、先生に聞くこともできるわけですね。